函館市内を走る路面電車・函館市電で、車内の空調設備として家庭用のルームエアコンを設置していることが話題となった。2025年7月1日、NHK函館放送局のキャスターで、フリーアナウンサーの堀若菜さんがXで紹介し、注目を集めたことがきっかけだ。
なぜルームエアコンを車両に取り付けたのか。また、冷房の効きめのほどは。函館市企業局交通部に聞いた。
電車用の空調装置を「既存車両へ搭載することは非常に困難」
鉄道が趣味の堀さんはXで「函館市電の暑さ対策、それは」「車内にルームエアコン」として、函館市電の車内に設置されたエアコンの写真を公開した。さらに「皆さん気になる室外機ですが、なんと屋根上に取り付けられています」とも紹介すると、「斬新すぎますね」「室外機は上かいw」「絵面がおもろいな」といった反響が寄せられ注目を集めた。
なぜ、車両にルームエアコンを設置したのだろうか。8日にJ-CASTニュースの取材に応じた市企業局交通部安全管理課は、「車内に室内機2台、屋根上に室外機2台を設置し、空調専用補助電源装置1台も屋根上に搭載しています」とし、21年に車体改良工事を行った際に搭載したと説明した。
安全管理課によると、改良前、車両30両のうち空調装置を搭載していた車両は8台のみで、利用客から「冷房の効いた車両」の要望が多数寄せられていたという。しかし、電車用の空調装置は「車体形式ごとの専用設計となるため、非常に高額となることや、重量があるため車体の剛性を強化する必要もあり、既存車両へ搭載することは非常に困難であった」と説明した。
こうしたなか、とさでん交通(高知市)で車両へのルームエアコンの搭載実績があることがわかった。そこで、「搭載について課題を整理したところ、技術的および費用的に現実的であると判断できたため」、「8101号車」と呼ばれる車両へ搭載することとしたという。