日本全国の自治体に寄付をすることで、希望の返礼品をもらうことができる、ふるさと納税。各自治体は多くの場合、仲介サイトを通じてふるさと納税を募る。仲介サイトにはそれぞれの自治体の返礼品が掲載され、まるで通販サイトのような見た目になっている。そして、この仲介サイトを使って寄付をすれば、各キャッシュレス決済サービスのポイントが付与されていた。ところが、国はこの部分を問題視し、2025年10月からポイント付与が禁止されることになった。一方で、それに大反発しているのが楽天グループである。総務省が発表「ふるさと納税の指定基準の見直し等」ふるさと納税は本来であれば「特定の自治体を応援する」という方向性のはずだが、現実には通販サイトのような様子になっているのも事実だ。過度な返礼品競争、そして仲介サイトが提供する過度なポイント付与競争が指摘され、国がそれにメスを入れた。6月28日、総務省は公式サイトの中で「ふるさと納税の指定基準の見直し等」を発表。これによると主な改正内容は、・寄附に伴いポイント等の付与を行う者を通じた募集を禁止すること。(募集適正基準の改正)【令和7年10月1日から適用】・「区域内での工程が製造等ではなく製品の企画立案等であるもの」や「区域内で提供される宿泊等の役務」について、当該地方団体で生じた付加価値や、地域との関連性をより重視した形で、基準を見直すこと。(地場産品基準の改正)の2点だ。これらを一言で表現すれば、その土地ならでは返礼品を、ポイントを付与しない形で提供する、ということだろう。ポイントの源泉は各自治体が仲介サイトに払う手数料で、これはもはやふるさと納税の本来の趣旨から逸脱している、と国は判断したのだ。楽天グループが訴訟に踏み切るこれに対して、ポイント付与禁止は総務省の裁量権の逸脱と声をあげたのが、楽天グループだ。25年3月、楽天グループの三木谷浩史会長は石破茂首相に対して約295万の署名を自ら手渡した。ポイント禁止に反対する声を届けたかたちだ。さらに、楽天グループは7月10日、国を相手取った行政訴訟に踏み切った。ポイントを禁じた総務省告示の無効確認を求めたのだ。ふるさと納税に対してポイントが付与されなくなることは、消費者にとっては「目に見える損」といえるだろう。しかし、国が主張する通り、仲介サイトでのポイント配布が自治体の重しになっているとしたらどうか。それは巡り巡って、納税者に対する行政サービスに悪影響を及ぼす可能性もある。いずれにせよ、ポイント付与をサービスとして行う仲介サイトからふるさと納税を募る行為は、10月で禁止される見込みだ。(澤田真一)
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