高齢者らが爪にマニキュアを塗るなどして楽しむ「福祉ネイル」について、税金が使われる介護保険が適用されたとの誤った情報が拡散し、発信元の日本保健福祉ネイリスト協会(大阪府岸和田市)が誤解を与えたとして公式サイト上で謝罪した。きっかけは、「介護報酬の仕組みとは?ネイルで加算算定の実例もご紹介!」と見出しにした2022年9月30日付のブログが、X上で取り上げられたことだった。「回想法」用いた会話の中で、マニキュアでネイルカラー施す日本保健福祉ネイリスト協会がネイルで加算算定の実例を紹介したと、25年8月2日にX上で投稿されると、リポストされるなどして拡散し、疑問や批判が次々に出た。「高齢者のネイルに介護保険を適用するのか?」「お金の使い方が間違っている」「ネイルやりたいんだったら自己責任で自費でやって」...こんな声がX上で相次ぎ、炎上状態になった。福祉ネイルを広げるため国会議員連盟を立ち上げてもらうよう働きかけたとする20年5月15日付のブログで、ネイリスト協会側が「助成金が出るようになれば......介護保険に認められれば......」と書いていることも取り上げられ、火に油を注いだ。もっとも、加算算定の実例紹介のブログでは、福祉ネイリストの資格を持った作業療法士が認知症の入所者に対し、リハビリの一環として回想法を用いた会話を行ったとする中で、マニキュアでネイルカラーを施したと紹介されていた。つまり、福祉ネイルそのものに介護保険が適用されたわけではないわけだ。こうしたことから、「加算は作業療法に対してなので」「勘違いしてらっしゃる方が多いな...」「手段として『ネイル』を選択しただけ」と冷静に見る向きも見られた。その後、ネイリスト協会は8月6日、「重要なお知らせ」として、「福祉ネイルに関するSNS上の誤解についてのご説明とお詫び」を公式サイト上で行った。「介護保険の加算対象であるとするものではありません」このお知らせでは、「このたび、SNS(X 旧Twitter)上にて当協会に関する誤解を招く情報が拡散され」たとして、ブログの真意について説明した。X上で、「福祉ネイルが介護保険の加算対象である」「当協会が福祉ネイルの保険適用を全面的に進めている」といった投稿が拡散しているが、それは「事実とは異なる内容」だとした。「当該記事では、『リハビリ職(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士など)が、現場判断で福祉ネイルを機能訓練の一環として取り入れているケースがある』と当時の一例をご紹介したものであり、福祉ネイルが介護保険の加算対象であるとするものではありません」「機能訓練加算等については、作業療法士や理学療法士など医療・リハビリ専門職が行う介護保険制度内の正式な取り組みであり、福祉ネイリストの活動とは異なるものであることを、改めてここに明記いたします」また、「加算報酬は施設側に支払われるもので福祉ネイリストに対して支払われるものでもありません」とも付け加えた。さらに、国会議員連盟設立への働きかけについても、「当協会としては、福祉ネイルの保険適用を制度化する等という考え方を有しているわけではなく、また、これまで、当協会が福祉ネイルの全面的な保険適用を制度化しようとしていた事実もございません」と説明した。そのうえで、「一部の過去の表現が誤解を招いた点については、改めてお詫び申し上げますとともに、今後の情報発信においてより一層注意を払ってまいります」などと結んでいる。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
記事に戻る