「あなたの両親が、あなたのきょうだいが、あなたの娘がそうなっても、あなたは戦争を続けますか」と、元プロ野球選手の張本勲さんは声を詰まらせながらそう語った。2025年8月10日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)は、80年目の「原爆の日」を特集した。5歳で被爆、姉を失う過酷体験いつもの「スポーツご意見番喝!あっぱれ!」にスペシャルご意見番として登場した張本さんは、陸上100メートルで8年ぶりに9秒台を出した桐生祥秀選手に「あっぱれ!」を出したりした後に退席せず、引き続き「風をよむ」コーナーで被爆体験を語った。張本さんは5歳の時、広島で被爆している。自分は大きなけがをすることはなかったが、姉は亡くなった。「私も大事な姉を、全身ケロイドで(だれか)わからないような......。母親がね、それを見ながら介護もできない、薬もない、医者もいない。自分の衣類を引きちぎって、わずかに水に浸して、首を冷やしてくれたそうです」と話した。そして、「それでも戦争を続けますか」と強く迫る。「もし続けるなら、人間の所業じゃない。この世の中に絶対にやっちゃいけないのは、言うことを聞かないからと、爆弾で殺戮を犯すことです。これだけは、やめなきゃいけないと思う」と強く話した。ロシアのウクライナ侵攻、ガザの惨状、そして「原爆は安上がり」と公言する国会議員などが心の中にあるのか。原爆を知らない日本人、「そんなのおるんかいな」司会の膳場貴子キャスターが「核兵器を容認するような空気が一部にまた起きていますけれども......」と聞く。張本さんは「幼い子ども、先のある若者をね、そんなことで亡くしちゃダメでしょう」といい、少しいらだったようにこう言い切った。「あなたの親族がそうなったら(被爆者となるかもしれないこと)、それでもあなたは(原爆を)承認するのかと問いたいんですよ」張本さんは前日(9日)の「報道特集」(TBS系)にも出演して、「被爆体験と主張を語るようになったのは、『原爆? どこに落としたの』と聞く人がいたんですよ。こんな人が日本におるんかいなと、もうびっくりしてね。若い人にもちゃんと話していかなければいけないと思うようになったんです」とインタビューに答えていた。張本さんの体験とメッセージを正面から取り上げたサンモニと報道特集に敬意!(シニアエディター 関口一喜)
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