北アルプスにある富山市有峰の薬師峠キャンプ場(通称:太郎平キャンプ場)で、ツキノワグマがテントを荒らす被害があり、富山県は2025年8月20日、安全のため、管理する同キャンプ場を当面閉鎖すると発表した。目撃者によると、クマは人を恐れる様子はなく、食べ物をあさっていたという。その2週間ほど前にも、近くの登山道にクマが居座るのが目撃されており、県では、入山規制も検討していることを取材に明らかにした。クマは、撮影されても気にしない様子で...黄色いテントの後ろで、体長1メートルほどの黒い子グマがバッグなどをあさって、何か食べている。撮影されているにもかかわらず、気にしない様子だ。この映像は8月20日、地元テレビ局のウェブ版ニュースで視聴者提供と紹介された。キャンプ場には当時、登山者約50人がいたという。富山県自然保護課の発表によると、前日19日の16時45分ごろ、キャンプ場でクマがテント1つと食料を持ち去った。この被害を受けて、県などでは、利用者に近くの太郎平小屋へ移ってもらう対応などを行った。キャンプ場利用者からは、X上でも、当時の状況がいくつか報告されている。それらによると、テントがクマに持っていかれた後、通報を受けた県警山岳警備隊員や小屋のスタッフがスプレー噴射などでクマを追い払った。クマは、なかなか逃げなかったという。隊員がテントの移動や撤収も指示し、最終的には小屋まで移ってもらい、そのそばを臨時のキャンプ場にした。隊員が夜通し、クマの見張りをしたが、怖かったという。幸い、登山者にケガ人はなく、翌朝に下山するなどしていた。このときの状況について、県の自然保護課では21日、テントと食べ物を持ち去った子グマ1頭のほかに、周辺で親子グマ2頭、子グマ1頭が目撃されたとJ-CASTニュースの取材に説明した。実は、8月3、4日にも、キャンプ場へ向かう折立登山道でクマが居座っているのが目撃されており、県が状況を伝えるチラシを登山口で配布して注意を呼びかけていた。「人間の食べ物に執着すると、同様な被害が起きる可能性」「登山道では、親子グマ2頭、クマ1頭などと何度か目撃されています。距離的には、今回と同じ個体の可能性がありますが、はっきりとは分かりません。クマに遭遇すると、近寄って写真などを撮る方がおられます。人慣れ防止のため、こうしたことをしないようチラシで呼びかけました」8月3、4日は、X上でも、登山道にクマが居座る様子を撮った動画が投稿され、地元の一部テレビ局でも、取材班がクマに遭遇したと撮った写真をウェブ版ニュースで紹介するなどしていた。「夏は、山にクマの食べ物が乏しく、石を転がしてアリなどを食べている状態です。クマは、エサを探して、広い範囲に活動するようになります。クマが自分の物と認識したリュックやテントなどを取り返そうとすると、人間に盗られたと敵視してしまいます。過去には死亡事故も起きていますので、こうしたことも止めてほしいと思っています」今回、キャンプ場を閉鎖した理由については、「人間の食べ物に執着するようになりますと、同じような被害が起きる可能性があると判断しました」と明かした。閉鎖の後も、登山道を利用している登山者が多くいるとX上では指摘も出ているが、今後について、自然保護課では、こう述べた。「何か対応を取りたいと考えており、入山規制も検討しています。折立登山道は、百名山の入口になっており、一番利用者が多いですが、他にも登山道はたくさんあります。どこが規制するかも含め、対応を確認しているところです」(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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