「一強」から「分散」「群立」へ
外資系大手ブランドの旗艦店閉鎖や規模縮小の理由を見ていくと、一時的な現象ではなく、グローバル企業側の戦略的な構造改革、日本市場での事業最適化(ローカライズ)の限界、消費者行動の劇的変化などが複合した、ごく構造的なものであることが見て取れる。
日本でも十分になじみ、成功したブランドだとしても、いまや消費行動はリアル店舗だけでなく、ECも存在感を発揮する。そんな中にあって、リアル店舗でのブランド体験やコミュニティ形成といったバリューは、相対的にその評価を減じていったことは否めないだろう。消費者の志向を敏速かつ的確に捕捉できる店舗設計でなければ、雇用を含む総体的なコスト最適化の流れから閉店は免れまい。
不動産専門誌では、すでに10年以上も前から、青山や渋谷、原宿など都心商業地は、特定ブランド旗艦店の一強時代から、分散した体験型複合商業地や、群立する新興ブランド店舗へと姿を変えつつあることが指摘されている。今後、リアル・デジタルを交えたハイブリッドコミュニティ形成や、コラボレーションによる新たな価値創造を模索することがより求められるだろう。