この夏(2025年)、各地のお祭りや花火大会は大変な賑わいだが、目立ったのは有料観覧席の拡大と高額化だ。
帝国データバンクによると、全国106の主要花火大会のうち約8割が有料席(エリア)を設けていて、一般席の平均は5227円(前年比+1.8%)、テーブルやソファ、グランピングシートなどを設置したプレミアム席(最高値)の平均は3万6193円(前年比+7.2%)。とくに、今年は5万円以上の席が少なくないという。
最も高かったのは、「松江水郷祭湖上花火大会」(島根県)の4人用VIPテーブル席の12万円で、お弁当と飲み物がつき、専用トイレも用意された。
開催費用が年々高騰。とくに警備費がかさむ
花火大会の有料観覧化が広がっている背景に何があるのか。開催費用の高騰である。事故や熱中症などのトラブルの責任が強く問われるようになって、警備費がかさんでいる。
新型コロナ後は有名花火大会に見物客が殺到し、群衆雪崩の防止や通行誘導に、それまでの2倍以上の警備スタッフを配置しなければならなくなっている。全国の大会を平均すると、開催経費のうち花火打ち上げ費用は3割で、6割が警備費だという。
日本三大花火大会の一つで、8月2、3日に開かれた「長岡まつり大花火大会」(新潟県)の開催予算は約18億円。うち花火打ち上げ費は約3億円、会場設営費が約4.5億円、警備や誘導関係の安全・交通費が約4.6億円、人件費が約1億円だった。
一方、収入に当たる観覧料は2000~4万8000円で計12.5億円。足りない分を企業の協賛金や自治体の助成で埋めてもギリギリ。いまや花火大会は有料化しなければ開催できなくなっているのだ。