新潟県三条市と国際協力機構(JICA)、慶應義塾大学SFC研究所が2024年7月に締結した「地域おこしと国際協力の研究開発と推進に関する連携協定」をめぐり、JICAは25年8月27日に公式Xで「外国人移住を促進するものではありません」と発表した。この連携協定をめぐっては、「JICAアフリカ・ホームタウン」をめぐる問題から派生し、SNSで外国人の移住・定住を促進するものだとする誤情報が広まっており、三条市もJ-CASTニュースの取材に「(協定の内容を)冷静に読んでいただけるとありがたい」とした。「JICAアフリカ・ホームタウン」問題から派生し誤情報が拡散25日頃からSNSでは、JICAによるアフリカ諸国との国際交流事業「JICAアフリカ・ホームタウン」をめぐり、日本がナイジェリア人に対し特別なビザを発行するなどの誤った内容のナイジェリア大統領府によるリリースや海外メディアの記事が注目を集めていた。移民受け入れを促進しているといった不安の声も広がった。JICAや外務省はこれを否定。外務省は26日、ナイジェリア大統領府が事実と異なる部分を削除したプレスリリースを発表し直したと報告した。この問題から派生し、SNSでは三条市とJICA、SFC研究所による「地域おこしと国際協力の研究開発と推進に関する連携協定」が注目を集めた。三条市は、ガーナとの交流を強化するために「JICAアフリカ・ホームタウン」に認定された市だ。24年7月に発表されたリリースによると、「地域おこしと国際協力の研究開発と推進に関する連携協定」は、3者による連携事業「JICA地域おこし研究員プログラム」をはじめとした「地域おこしと国際協力の相乗効果のあるプログラムを開発・推進すること」や「三条市の地域活性化及び定住・定着を促進すること」を目的に締結されたものだ。この「定住・定着を促進」の部分が、外国人を対象とする定住促進であるとする情報がSNS上で拡散された。JICAは25年8月27日にXで、「新潟県三条市・慶応義塾大学SFC研究所・JICAの覚書は、元JICA海外協力隊(日本人)が三条市での地域おこし協力隊の活動をした後も三条市に定住・定着することを促進するもので、外国人移住を促進するものではありません」と、誤情報を否定するコメントを発表した。三条市も誤情報に対し訂正「主に日本国籍の方を対象」J-CASTニュースは28日、三条市地域経営課の担当者にも話を聞いた。地域経営課の担当者は、「地域おこしと国際協力の研究開発と推進に関する連携協定」に関する誤情報が拡散していることは把握しているとした。誤情報の拡散について、「今までの移民の話の騒動から、この協定の『移住・定住』のところだけが目に入ってしまうと、誤解を受けてしまうことがあるのかも知れない」とし、そのうえで、内容をよく読めば「地域おこし協力隊と海外協力隊の制度をコラボしてやりましょうというような内容になっております」と説明。「移住・定住」についても、地域おこし協力隊と海外協力隊を経験した人に対し、三条市に定住してほしいという意図だとし、地域おこし協力隊や海外協力隊は「主に日本国籍の方を対象としている」とした。「これによって、ガーナの方が大量に三条市に来るという捉え方は完全な誤認なのかなと捉えておりまして、冷静に読んでいただけるとありがたい」と話した。発表によると、協定によって行われる事業「JICA地域おこし研究員プログラム」とは、「『開発途上国での国際協力活動』と『日本国内の地域おこし活動』の相乗効果のある研究開発や実践に挑戦する方への支援プログラム」のことだ。前出の担当者の説明によると、このプログラムに参加する研究員は、地域おこし協力隊として1年間三条市でまちづくりの経験をした後、海外協力隊として1年間ガーナに派遣され活動、その後、ガーナで得た知見を活かし、再び三条市で地域おこし活動をする。もしくは、海外協力隊として活動した後、地域おこし協力隊として三条市のまちづくり活動をすることを想定しているという。現在、1年目の地域おこし協力隊として、2人の慶応義塾大学の大学院生が野球や地域防災を通じた活動をしているという。
記事に戻る