スタッフも動かず...注意しても変わらない現実にモヤモヤ
「後ろに大勢の人がいるのに、割り込むのはおかしいですよ!」
田村さんは再度伝えたが、若者たちは取り合おうとしなかったという。周りの観客も困惑の視線を送るだけで、誰も注意をしなかった。
そこで田村さんは、運営スタッフに近づき小声で相談した。
「あの......。先に場所を確保していたんですが、割り込まれて困っています。対応していただけませんか?」
だが、返答は冷ややかだったようで......。
「個別のトラブルには対応できません」
期待していた解決にはつながらず、田村さんは諦めざるを得なかった。
やがて花火が始まり、観客の視線は一斉に頭上へと向けられた。歓声が上がるなか、田村さんの胸には複雑な思いが残る。
「花火自体は本当にうつくしかったです。でも、気持ちは最後まで晴れませんでした」
人が集まる場で秩序を守るのは、観客一人ひとりのマナーにかかっている。しかし、その努力は一部の無配慮な行動で容易に崩されてしまう――。華やかな花火の裏で、人の振る舞いのむずかしさが改めて浮き彫りになった瞬間だった。