備蓄米は売れ残り、新米は価格アップ間違いなし 解決しない「コメ問題」これから輸入米とどう向き合う

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「平成の米騒動」ではタイ米に抵抗感

   われわれがこういう状況に直面するのは初めてではない。

   多くの人が思い出すのは、1993年の「平成の米騒動」であろう。この年は歴史的な冷夏で稲は実らず、政府はタイや米国、中国から合わせて約260万トンものコメを緊急輸入した。

   日本の食卓に、突然長粒種のタイ米が並んだ。「パサパサして食べにくい」「味噌や醤油には合わない」などと戸惑う声が広がり、学校給食でも子どもたちが箸を止めた。国産米の値は跳ね上がり、その混乱は数か月に及んだ。

   あれから32年の歳月を経て、われわれは再び似た局面に立っている。備蓄米の放出は応急処置として一定の役割を果たすと評価してよかろうが、しかし蓄えには限界がある。備蓄制度は凶作時の保険として設けられているが、全国規模の不作の前には持続力に乏しい。すでに農水省は備蓄米の販売期限を1か月以上に延長するなどの対応を取ったが、蓋を開けてみれば数日の猶予に過ぎず、現場の混乱を収めるにはいささか力不足だ。

   となると、残された現実的な選択肢は、輸入米を主食用に回すことだろう。農水省はSBS(売買同時入札)方式で輸入を続けてきたが、その多くは業務用や加工用にとどまっている。制度をもっと柔軟に運用し、主食用としての流通を増やさなければ需給のひっ迫は避けられまい。

   外米に抵抗を覚える人は少なくない。しかし昨今の気候変動の激しさはだれの目にも明らかであり、現状ではコメの供給を国内だけに頼り切るのは難しい。日本人が日本のコメを主食に据え続ける限り、国内の豊作不作に右往左往させられてしまうのは避けられない。だからこそ外米との共存を「例外」ではなく「前提」とする覚悟が求められる。

   政府は緊急輸入に備えた法整備や暫定措置を準備すべきであり、消費者もまた「コメの多様性」を前向きに受け入れる必要がある。

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