川の中に「ミャクミャク」の頭が残された。周りの人は「喜ぶのは、ほどほどに」「私も気持ちは飛び込みたい」と賛否が入り乱れた――。プロ野球・阪神タイガースが2025年9月7日、セ・リーグ優勝を果たした。大阪・ミナミの道頓堀川では、優勝時の「風物詩」とされる阪神ファンによる飛び込みが続出した。大阪府警によると、8日午前0時30分時点で延べ29人が飛び込んだという。「だるま大臣」には救命胴衣7日、J-CASTニュースの記者が現地を訪れた。道頓堀周辺は警察による「厳戒態勢」が取られ、御堂筋には、見渡す限り警察官の輸送車両が道路脇に停車。18時前には、御堂筋に架かる道頓堀川の橋で警察官が2mほどの飛び込みを防止するためのシートを張った。インバウンドの観光客を中心に、シートとシートの間から名物のグリコの看板を眺める姿も見られた。18時頃から戎橋では、警察官が橋の端側から1mのところに等間隔で立って警戒。「立ち止まらずにお進みください。左側通行でお進みください」と拡声器を使って、何度も呼び掛けていた。戎橋近くに店を構える串カツ店「串かつだるま」では、シンボル像「だるま大臣」に、万一に備えて救命胴衣を着用させた。別の居酒屋店では、優勝時には「何杯飲んでも220円」とのラミネートが既に掲示されていた。警察官の制止を無視して川に優勝間際になると、より多くの警察官が配備され、流れも一方通行に規制された。警察官の「立ち止まらないでください」との声が鳴り響いていた。そして、阪神が2-0で広島カープを下し、優勝が決まった21時過ぎには周囲から大歓声があがる。ファンが抱き合い、喜びを爆発させた。応援歌「六甲おろし」の合唱がどこからともなく始まり、胴上げや巨大な阪神の旗を振る姿が見られた。すると、道頓堀川では、やはり警察官の制止を無視して川に飛び込むファンの姿が。大阪関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」のコスプレをして飛び込んだ人もおり、飛び込んだ後にはミャクミャクの頭部だけが川に残された。また、飛び込む姿に触発されたと見られる外国人も川へ飛び込んだ。過去には死亡事故も道頓堀を訪れたファンに話を聞いた。長年阪神を応援している60代男性は「道頓堀は聖地なので、雰囲気を味わいたい」と訪れた。目の前に飛び込んだ瞬間を目撃したといい「川が汚いのでどうかなと思う。喜ぶのは、ほどほどにしてほしい」と話した。仕事終わりで自宅の尼崎市で優勝の瞬間を迎えたという20代男性は「今年の阪神は安心して見られた。年に何度もあるものでないので、すぐに道頓堀に行こうと思った」と明かす。道頓堀に飛び込むファンに対しては、こう眉をひそめた。「ハメを外しすぎでは」。一方で30代女性は、好意的だった。「私も気持ちは飛び込みたい。タイガースが優勝したら飛び込まないと」。また、スポーツ各紙は号外を発行。22時45分には、JR大阪駅にほど近い商業施設「HEPNAVIO」前でデイリースポーツ、日刊スポーツの号外が配られ、ファンが集まった。号外を受け取った20代女性はそれを眺めながら、感想をこう語った。「今年は優勝が早すぎて。号外を見て、初めて(優勝を)実感した」1985年の阪神優勝から始まったとされる道頓堀川への飛び込みは、優勝の際の「風物詩」とされている。朝日新聞によると、2003年の優勝の際は約5300人が飛び込み、男性1人が亡くなる事故も発生。23年のセ・リーグ、クライマックスシリーズ、日本シリーズと3回の優勝で延べ65人が飛び込んだという。
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