ウクライナ侵攻で日本車が買えなくなったロシアの現実 新車市場を独占するのは中国メーカー

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日本メーカーは輸出を自粛、経済制裁の影響は無視できない

   新車市場で中国メーカーが圧倒的に強いのは、西側メーカーが撤退したからだ。ところが中古車市場ではトヨタなど日本メーカーや現代・起亜の韓国メーカー、欧米メーカーが人気なのがわかる。

   筆者がモスクワやウラジオストクを訪れたのはウクライナ侵攻前だが、クレムリン周辺はメルセデス・ベンツやBMW、アウディーなどドイツの高級車があふれていた。

   これが同じモスクワでも、中心部から少し離れた住宅街に行くと、旧ソ連時代の「ラーダ(VAZ)2103」などの旧車が庶民の足として健在だった。ウラジオストクやサハリンでは右ハンドルの日本の中古車がラーダなどロシアの国民車を圧倒していた。モスクワやウラジオストク市内には日本の主要メーカーのディーラーがあり、日本の新車も数多く走っていた。

   ところが事態は一変した。ウクライナ侵攻を受け、日本政府はロシアへの経済制裁を強化している。2023年8月からは排気量1900cc超のガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、電気自動車などの輸出を禁止した。例外的に排気量1900cc以下の小型車は今も輸出が可能だ。

   日本の大手自動車メーカーは新車の輸出を自粛しているため、実際の輸出は排気量1900cc以下の小型の中古車に限られる。ロシアでは日本の小型中古車の需要が高いというが、日本の貿易統計によると、2024年の日本のロシア向け中古車の輸出は前年比6.3%減の19万台と減少傾向にある。やはり経済制裁の影響は無視できない。

   このままでは日本の中古車もロシアでは次第に姿を消し、新車、中古車とも中国車が大勢を占める時代が来るかもしれない。ロシア市民にとっても、愛車を選ぶ選択肢が狭くなるのは耐えられないだろう。その意味でも、ロシアのウクライナ侵攻が一刻も早く終息し、西側との自動車ビジネスが正常化することを願わずにはいられない。

(ジャーナリスト 岩城諒)

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