部品調達難でエアバッグやABSを省略した車
西側メーカーの撤退はロシアの自動車産業に混乱をもたらした。ルノーが2022年5月、子会社だったアフトワズの保有株式を売却すると発表。国民車「ラーダ」などを生産するアフトワズは欧米の経済制裁で主要部品の調達が困難となった。
このため、ロシア政府はエアバッグやアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などを搭載せず、排ガス規制も緩和したクルマの生産を認める特例を出した。これを受け、アフトワズはエアバッグやABSを省略した「ラーダ・グランタ」を発売した。
ところが、ロシア市民の間で安全装備を省略したロシア車の評判は悪く、中古車や並行輸入車を選ぶユーザーが増えたという。
その傾向はロシアの中古車市場を見ると一目瞭然だ。2024年のロシアの中古車販売台数のブランド別ランキングは、(1)ラーダ(2)トヨタ(3)起亜(4)現代(5)日産(6)フォルクスワーゲン(7)シボレー(8)ルノー(9)ホンダ(10)フォード――の順となっている。