社会復帰後の実態も公表されるドイツ、英国
では、こうしたケースにおける海外の制度はどうなっているのだろうか。
たとえばドイツでは、日本と同様に「精神障害により責任能力を欠く者は無罪」と定めている。しかし同時に、社会防衛の観点から無期限の措置入院を命じることができ、社会復帰には定期的な厳格な審査が必要だ。
さらに、ドイツでは長期的な再犯率も詳細に調査されている。法医学者ハンナ・クラウジング氏とディーター・ザイファート氏の研究によれば、平均16.5年の観察期間中、約3分の1(35.2%)が再犯していたという。
イングランドとウェールズでは、精神障害のある被告に対し病院命令を出し、必要に応じて制限命令を付す。退院後も「条件付き退院」にすぎず、条件に違反すれば即時召還される。
さらに、司法省は「制限付き患者統計」を毎年公開しており、入院者数、退院の形態、処分内容などが明らかにされている。