高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 進次郎氏推しだったオールドメディア...なぜ高市氏は勝てたのか

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   2025年10月4日に投開票された自民党総裁選を振り返ってみると以下のとおり。

〈第1回投票〉小林鷹之 議員票 44党員票 15 合計59、茂木敏充 議員票 34 党員票 15 合計49、林芳正 議員票 72 党員票 62 合計134、高市早苗 議員票 64 党員票 119 合計183、小泉進次郎 議員票 80 党員票 84 合計164

〈決選投票〉高市早苗 議員票 149 都道府県票 36 合計185、小泉進次郎 議員票 145 都道府県票 11 合計156

  • 自民党の高市早苗総裁(25年9月撮影)
    自民党の高市早苗総裁(25年9月撮影)
  • 自民党総裁選では「進次郎氏優勢」と見る向きもあった(写真は自民党ウェブサイトから)
    自民党総裁選では「進次郎氏優勢」と見る向きもあった(写真は自民党ウェブサイトから)
  • 自民党の高市早苗総裁(25年9月撮影)
  • 自民党総裁選では「進次郎氏優勢」と見る向きもあった(写真は自民党ウェブサイトから)

オールドメディア調査は高齢者を多く拾い、高市氏が過小推計に?

   当日の11時頃から党員票の開票が進み、まず10都道府県あたりで投票結果が出た。その時、高市氏の投票率が軒並み40%を超えていた。これで党員票で高市氏の圧勝を確信した。

   オールドメディアの調査では、党員票で高市氏は30%を少し超えたあたりで、トップになるとしても小泉氏と僅差であった。ここに間違いがあった。オールドメディアの調査は詳細な年齢構成が未公表なので分かりにくいが、筆者の感覚からいえば、高齢者を多く拾っているようだ。そうなると、高市氏は過小推計になりがちだ。

   ただ、総裁選では、決選投票での国会議員票のウエイトが大きいので、党員票はあまり考慮しなくてもいいという判断があったかもしれない。

   しかし、1回目投票後、単純に小林・茂木両氏の議員票が高市氏、林氏が小泉氏に流れると、高市氏142、小泉氏152となり、党員票の差が20程度あるので、僅差だが高市氏の勝利と筆者はみていた。

   結果は議員票で9票程度、高市氏に流れたので、やや大差になった。

アンケート調査に「デタラメに答えた」国会議員も

   こうしてみると、オールドメディアの小泉推しにはさほどの根拠がないことがわかる。もし党員票について、事前の高市有利でも僅差であるとしても、小泉圧勝とならなかったはずだ。マスコミが得意とする議員票の悉皆調査でも、かなり外した。筆者の知り合いの国会議員はマスコミのアンケート調査にデタラメに答えたと言っていた。各候補の支持者リストが作られ、各陣営からの「剥がし」が面倒だからだ。こうした「隠れ」支持者は二桁はいただろう。295しかない議員票でこのブレは大きい。

   結局、支持者リストがすぐ出回るというのはオールドメディアが、信頼がおけないということだ。さらに、オールドメディアは取材しやすいところを推す傾向がある。

   高市氏の勝因は政策が頭抜けて良かったことだ。小泉・林氏は石破継承なので解党的手直しにならないが、高市氏だけが唯一期待できる候補だった。それを党員が後押しした。株式市場も史上初の4万8000円を付けるなどお祭り状態だ。過去の新総裁決定後の株価反応でみても、高市氏4.8%高とトップだ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

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