神奈川県方面は多くの利用者が私鉄に流れる恐れ
JR東日本と私鉄は、神奈川県方面でバッチバチのライバル関係になっている。
渋谷から横浜までは、JRのライバルは東急電鉄だ。JRの現行運賃は406円、東急電鉄は309円であり、現在でも東急優位だ。しかし来春3月14日からはJRは440円となる。
品川から横浜までは、JRと京急電鉄がし烈なデッドヒートを繰り広げている。JRは303円、京急は313円と、実は京急のほうが高い。京急電鉄の横浜より先の利用者は横浜までは京急、横浜でJRに乗り換えるという利用パターンの乗客が多い。しかしJRの運賃がこんど341円となり、京急を品川まで利用する人が増えると考えられる。
京急は、遠方となると横須賀線とのライバル関係が発生する。品川から久里浜(京急久里浜)までは、JRは945円、京急は710円で、すでに差がある(JRのほうが遠回りという事情もある)。だが新運賃ではJRは1221円となり、もうJRは選ばれないことになりそうだ。
湘南方面はJRと小田急が競合している。新宿から藤沢までは、JRは990円、小田急は607円で、現在でも小田急が圧勝であるものの、JRの新運賃は1034円となる。
神奈川県方面は、多くの利用者が私鉄を利用することになると予想する。
来春3月14日からのJR東日本新運賃では、地下鉄や私鉄との運賃差の大きさに、多くの人が驚いてJR東日本を避けようとする動きが出てくるのではないか? それとも、いまどきは多くの人が交通系ICカードを使用しており、運賃のことは気にしない、という人も実は多いのか?
いずれにせよ鉄道利用者がどう動くか、興味深いものがある。(小林拓矢)
筆者プロフィール
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。