「なんてことだ」外国人YouTuberが原発事故被災民家で配信 「立入禁止区域でない」と釈明も、炎上止まず

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   フランスから来たという外国人男性が、東日本大震災や原発事故で被災した福島県浪江町内の空き家に立ち入ってユーチューブ上で動画配信し、批判が相次いでいる。

   男性は、ネット炎上した後に、避難指示が解除された区域だと主張した。とはいえ、空き家に無断侵入していた可能性があり、通報を受けた福島県警の双葉署が状況を調べている。

  • 外国人YouTuber投稿の動画から
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来日当初は、「日本へようこそ!!」と歓迎を受けたが...

   放射線防護服のような白い服を上下に着た男性が、マイクを手に路上に立ち、「私は福島にいます」と英語で説明している。

   その後、公園に入り、放射線測定器で水飲み場などを測り出した。続いて、金融機関の敷地内に入り、入口に立って震災で崩れたタイルなどを指差す。男性は、視聴者に体感してもらうためか、様々な物を指で叩いて音を聞かせていた。

   次に、空き家に向かい、大地震の揺れで物が散乱した部屋で測定器をかざした。この民家の中を歩き回り、被災した11年3月のままになっているカレンダーを見つけると、それをめくりながら、「なんてことだ」とため息をついた。

   崩壊の危険もある階段を使って2階にも上がり、押し入れの服を触ったりする。車庫にも入って、ほこりだらけになった車を叩いて音を立てた。

   空き家を出ると、今度は、道路の真ん中に仰向けに寝転がったり、放置されたトラックの荷台に上がったりもしていた。防波堤に上がると、「津波」があったと報告していた。

   この動画は、10分ほどあり、2025年10月16日に男性のユーチューブチャンネルで投稿された。

   チャンネルの登録者は、100万人近くに上っており、ユーチューブでは人気の配信者のようだ。24年4月も、来日して観光地を紹介しており、ファンだという日本人もいた。今回の来日では、10月12日に東京・渋谷で配信し、「日本へようこそ!!」「日本に来てくれてありがとう!」と日本語のコメントで歓迎を受けた。ところが、福島の被災民家で撮った動画を配信すると、その風向きは一転してしまった。

福島県警の双葉署「家主から被害届が出れば受けたい」

「勝手に入って大丈夫なんかこれ」「被災者の方への配慮が欠落している」「失望しました」

   動画のコメント欄には、日本語でも疑問や批判が相次いだ。「被災地の現状を動画として世界へ共有してくれている」と一部で擁護もあったが、炎上状態になった。

   これを受けて、男性は、10月16日のうちに英語のコメントで釈明した。

   立入禁止区域などには行っておらず、許可された区域だけを訪れたとして、「こうした光景を見るのは感動的で、だからこそ私たちはできる限り敬意を持って行動しました。録画中は何人かの住民の方とお話しもでき、知識を深める貴重な冒険となりました」と理解を求めた。

   とはいえ、炎上は止まず、警察や町役場などに通報しようとする動きも出ている。

   浪江町を管轄する双葉署は17日、J-CASTニュースの取材に対し、同日朝を中心に数件の通報を受け、動画の内容を確認したとしたうえで、こう答えた。

「動画が撮られたのは、数日前と確認できました。現場は特定できておらず、情報を集めています。家主と連絡がまだ取れておらず、申告もありませんが、被害届が出れば受けたいと考えています」

   ただ、空き家に立ち入る行為を立件するにはネックもあるという。

「家の屋根が抜けて、完全に放置されています。被災者の方は避難後、月に1度片付けに来たりしていますが、この家は、帰る予定がないともみられます。こうした点から、邸宅侵入に当たるのか解釈が分かれると思います」

   9月には、ウクライナ国籍の男3人が原発事故で被災した大熊町内の空き家でライブ配信して、邸宅侵入で逮捕・起訴されているが、このときは維持・管理されている家に立ち入っていたという。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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