大阪・関西万博が2025年10月13日に閉幕し、「万博ロス」が続きそうだ。だが、国内では1年半後に、横浜に「万博」がやってくる。大阪・関西万博と同じ区分の「登録博」は、次回は30年にサウジアラビアの首都、リヤドで予定されている。大阪・関西万博のレガシー(遺産)は、こういった万博に、どういった形で受け継ぐことができるのだろうか。最終日には、両都市関係者が記者会見やイベントに登場し、考え方を語っている。(随時掲載)大阪市長「始まる前はなかなかいいニュースがなくて」万博には、5年ごとに開かれる「登録博」と、特定のテーマに焦点を当てた「認定博」がある。大阪・関西万博は登録博、27年に横浜市で開かれる国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027、花博)は認定博だ。日本で開かれる万博としては、大阪万博(1970年)、沖縄海洋博(75年)、つくば万博(85年)、大阪花の万博(90年)、愛知万博(2005年)、大阪・関西万博(25年)に次いで7回目だ(このうち登録博は大阪、愛知、大阪・関西の3つ)。大阪・関西万博最終日の10月13日に開かれた「ホストシティバトンタッチセレモニー」には、大阪市の横山英幸市長と横浜市の山中竹春市長が出席。花博のマスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」も登場した。あいさつに立った横山氏は「始まる前はなかなかいいニュースがなくて、建設費の話や、工期が間に合わないんじゃないかと、たくさんご批判もいただいた」などと開幕前の様子を振り返った。横浜市長「コンセプトをそのまま引き継ぎたい」、大屋根リングの木材も再利用ただ、開幕すると「一気に空気が変わった」といい。「SNSでいろんな写真を展開していただいて会場のプラスの空気が本当に世の中に発信されて、多くの方にお越しいただいた」と話した。これを受ける形で、山中氏は「この大阪・関西万博の盛り上がり、お客様の笑顔を横浜の万博につないでまいりたい」と説明し、「花や緑、それも圧倒的な花や緑に囲まれて、環境に優しいライフスタイル、皆さん一緒に考えませんか」と呼びかけた。コンセプトや大屋根リングの木材も引き継いでいく考えだ。「世界とつながり、未来を描いていく。その大阪・関西万博のコンセプトを、そのまま引き継ぎたい。今、目の前にある大屋根リングの木材も一部グリーンエキスポで再利用したい」パビリオンが「来場者数と質の両立」目指すことの困難さ一方、次回の登録博、リヤド万博を2030年に開くサウジアラビアのガーズィー・ビンザグル駐日大使は記者会見を開き、大阪・関西万博から学ぶ点に言及した。具体的には(1)世界中に紛争や戦争がある中でも、万博は参加国・地域が提供する最高のものが集まる(2)万博は世界中の人々を結び付ける機能がある。特に若者は、優れた明日の世界を築けるという希望が持てる(3)万博が持っている使命を通じて、教育、技術や協働の重要性を強調できる、という3点をあげた。万博の意義以外にも、技術的な面として、パビリオンの「来場者数と質の両立」を目指すことの困難さに直面したとも話した。これは、万博に限らず、一般社会でも「現実的で持続可能なもの」と「より良いものを目指す夢や目標」のバランスを取ることが必要だと指摘した。その上で、5年後に向けて「(大阪・関西万博の)半年間で、万博が象徴する理念への信念を強めた。リヤド万博がその灯火を継承し、より高みへと旅を続けると確信している」と話した。6500年前のオーク集めた「文明の森」、丸ごと大阪府内に移転を模索理念を引き継ぐ以外に、大阪・関西万博の施設が、会期後にどのような形で生かされるかもポイントだ。パソナ館やオランダ館は兵庫・淡路島に移設されるほか、いわゆる「2億円トイレ」は、河内長野市の「府立花の文化園」に移設される。移設を模索している展示もある。そのひとつが、「文明の森」だ。一見すると単なる黒い木だが、実はチェコで発掘された6500年前のオーク。正確には化石化が進んだ「亜化石」で、1本だけでも博物館級の貴重なものだが、それを約130本展示したアートだ。責任者のトマス・ロススタインさんによると、会期終盤は1日に2万~2万5000人が訪れたといい、「すでに(「文明の森」は)歴史的・文化的にも意味がある場所になっている。(1本ずつバラバラにするのではなく)この『森』という形で維持したいと考えており、大阪府内の自治体と相談し、この形で永久に残せる場所を探している」と話している。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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