登山家の野口健さんが2025年10月27日にXで、全国で相次ぐクマの出没問題について持論を明かした。「長期戦略としては森づくり」野口さんは27日にXで、「何かの記事で駆除された熊の胃袋から人の顔の一部と頭皮、髪の毛がでてきたのだと。そして、この時期のクマにしては驚くほどに脂肪がなかったと。ガリガリに痩せ細っているのだ」とクマのエサ不足問題について触れた上で、「これではとてもじゃないが熊は冬を越せないだろう」と指摘。人里に下りてくるクマについて、「熊も冬を前に生き延びるために必死になって餌を求めている」とつづった。野口さんは、「ドングリやブナは不作の周期が定期的に訪れる。極端に実を落とさないのである。そして、人間による森林破壊も野生動物たちの生活圏を奪っている」とし、その解決法として、「長期戦略としては森づくり。針葉樹林から混合樹林などに植え替えて行く必要があるだろう」と提案していた。この「野生動物が生きていける森づくり」について野口さんは、「時間と莫大なコストがかかります」としつつも、「どうであれ健康な森づくりは必要がある」と断言。さらに、「長年に渡り森づくりを行ってきましたが、混合林が理想的」と自身の考えをつづっていた。「熊の命より人命を優先するのは当たり前のこと」さらに野口さんは、痩せたクマがエサを求めて人里に来てしまうことについて、「熊の立場になればそれはそうだろう」としつつも、「しかし、熊に襲われた人は命を落としたり、体に深刻なダメージを負う」とクマによる被害が甚大なものになると指摘した。また、野口さんが青森のマタギに聞いた話として、「射殺したはずの熊に張り手を食らった人の顔が吹き飛んだのだと。息絶えるその最後の瞬間の張り手であったのだと。解剖してみたら弾は心臓を突き破り心臓破裂していた状態」と生命力が強いことが分かるエピソードをつづった。野口さんによると、その青森のマタギの熊猟に「残酷だ!」という誹謗中傷が寄せられて、狩りがなくなった結果、クマが増えて人里に下り、結局駆除されているという。一方、野口さんはこれから冬に近づくに連れ、さらにクマの動きが活発化、凶暴化すると予想をし、「痩せ細り食べ物を求め里に降りてくる熊は可哀想だ。しかし、人と野生の熊が里で共存することは不可能だ」と指摘した。野口さんは、「熊の命より人命を優先するのは当たり前のこと。里に降りてきた熊は駆除せざるを得ない」としつつも、「ただ、その駆除した熊の命をちゃんと頂くこと。肉も毛皮も有り難く頂く。冬眠明けの熊なら漢方となる臓器(胆のう)も価値あるものに。命を奪ったからにはその命を無駄にしてはならない。マタギの方々からその姿勢を学びました」と明かした。また、「山を荒らす人間への怒りなのか又は助けを求めているのか、熊の叫びに銃口を向けなければならない人たちもさぞかし辛いだろうし、また命懸けである」とつづっていた。
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