反社会的勢力に約10億円の資金提供をしていた「いわき信用組合」(福島県いわき市)について、弁護士らでつくる特別調査委員会が発表した報告書の中身がリアルで怖すぎると、ネット上で話題になっている。
1990年代から繰り返された200億円超の不正融資の一部が、「解決料」として反社への資金提供に使われたという。発表した2025年10月31日付で、金融庁から再度の業務改善命令を受けている。その生々しすぎる中身とは――。
反社関係者から「街宣活動を中止させる」と仲介され...
この調査報告書では、まず24年9月にSNS上で投稿された元信組職員の告発がきっかけだったと明かした。
これを受けて内部調査が進み、預金者に無断で開設した口座を使った「無断借名融資」などを通じて、不正融資が発覚した。同年11月に第三者委員会が設置され、翌25年5月に調査報告書が出たが、信組側の協力姿勢に強い疑義が指摘された。そして、6月に今回の特別調査委がスタートし、反社が関わったとされた不正融資の追加調査を行った。退職者ら51人をヒアリングし、役員らの携帯電話データも調べて、不正融資の実態が分かってきたという。
報告書によると、反社との関わりは、1992~2001年に在任した理事長(故人)から始まった。当時、暴力団関係者と交友があり、融資に便宜を図った理事がおり、弱みを握られるようになった。そんな中で、1994年ごろに、暴力団関係者との癒着などを激しく糾弾する全国規模の右翼団体による街宣活動が理事長らの自宅周辺などで繰り返され、大口融資先の反社関係者から右翼団体との仲介役を務めると申し出があった。
しかし、信組側は、この仲介で助けられる代わりとして、街宣活動を中止させるための解決料3億円超を現金で支払うよう求められた。理事長らは、この求めに応じ、信組の納税充当金からこの額を支払った。これは不正な会計処理に当たるが、当時は公認会計士による外部監査も実施されていなかったという。
その後、この関係者は、16年ごろまで億単位の不当要求を繰り返し、信組側は、その弱みを反社につけ込まれる形になってしまった。