ロシア外務省は2025年11月11日、研究者や報道関係者などの日本人30人について、無期限の入国禁止措置としたことを発表した。SNSでは、発表資料に掲載された措置対象となった人物の名前や肩書きに関する表記ミスに困惑の声が広がっている。「ロシアへの敵対的な政策」への対抗措置ロシア外務省は、ウクライナ侵略に伴う日本政府による「ロシアへの敵対的な政策」の対抗措置として、30人の日本人に無期限入国禁止の決定を行った。ロシアはこれまでも対ロ制裁への対抗措置として、日本人の入国禁止リストを公開している。今回新たにリスト入りした人物や過去に入国禁止措置を受けた人物からは、ロシア外務省による「表記ミス」に呆れる声が上がっている。毎日新聞は12日公開の「露外務省、小泉悠氏ら30人を入国禁止 『日本の反露政策への対応』」との記事で、記者の肩書きの表記ミスを指摘している。「毎日新聞は、古賀攻客員編集委員が対象となったが、肩書として『政治部長・論説委員長』と記載されている」「特に検証もなされないまま出された可能性が高い」日経新聞による「ロシア、小泉悠氏ら日本人30人を入国禁止 政府や学術・報道関係者」との記事には、制裁対象となった慶応義塾大学総合政策学部教授の広瀬陽子氏がコメントをつけた。自身が対象となったことについては「今回制裁リストに入れられたが、私自身は2023年からウクライナ政府の依頼で和平を考える国際専門家グループに入っており、またロシアの少数民族の支援等もしているので、全く驚いていない」としつつ、「リストの選定基準は不明だ」とも説明。「また、今回のリストには名前の記載ミス多く、所属も古いまま更新されていない例が散見され、かなり前に作られたリストで、特に検証もなされないまま出された可能性が高い」としている。ウクライナの国営通信社「ウクルインフォルム」の編集者、平野高志氏は「おー、私も対露制裁リストに入れてもらえました!」とXでコメントした。その上で、「でも、私慶応大の教授じゃないよ...。雑い扱い...」と困惑していた。リストの人選についても、「また日経新聞の記者ばかりやけに固め打ちしている点も、どう考えてもバランス感覚なし。今回も、在京大の仕事・分析の質がうかがえる内容」としている。「一国の外務省の仕事としてあまりに雑、という印象」東京大学先端科学技術研究センター准教授の小泉悠氏は、平野氏の投稿を引用し「僕の肩書きがпреподавательЦентрапередовыхнаучныхитехнологическихисследованийТокийскогоуниверситета(編注:東京大学先端科学技術研究センター講師)だったり平野さんが慶應の教授だったり細谷先生が『ユーチチ・ホソヤ』だったりと、一国の外務省の仕事としてあまりに雑、という印象」と反応。「僕が講師だったのは2023年までなので、おそらくこの時点でロシア大使館は研究者に対する第二次制裁リストを作っていたのだろうぬ」(原文ママ)とし、「それを今になって発動してきた理由がよく分からないが」と首をひねった。22年に入国禁止措置を受けている神戸学院大学松口正記念ウクライナ研究センター所長の岡部芳彦氏は、小泉氏の投稿に反応し「ついでに言うと名越健郎先生のご所属が『タカショク大学』で、名前が『ケネロКэнеро』。一瞬、古代ギリシャの思想家か何かかと思いました。正確には『ケンロウКэнро』です」とした。「ちゃんとググってください、ロシア外務省。あ、Googleと係争中でしたね、確か」と皮肉っている。慶大法学部教授の細谷雄一氏は、「新しいロシア入国禁止リスト。ここにある、YuchitiHosoyaって、私に似た名前ですが、私ということでよろしいのでしょうか?」と困惑。「もう少し有名にならないと、きちんと名前を覚えてもらえないのかしら...」と嘆いた。
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