閣外協力という形で与党入りした日本維新の会・藤田文武共同代表が2025年11月12日に開かれたイベントで、中高生を前に「連立」の苦労を語る場面があった。イベントは「N高グループ政治部」のゲスト講義の一環で、テーマは「転換期における野党の役割」。国民民主党・玉木雄一郎代表、公明党・斉藤鉄夫代表も出演し、それぞれの立場から野党や連立のあり方を語った。何に重きを置き、何に片目をつぶるかという政治判断藤田氏の発言は、中高生の質問に答える中で出た。質問は政治の安定と連立のあり方をからめたもので、「今後10年、国民の声を受け止める安定した政治勢力であり続けるために、野党は『連立を維持する』という大義のもとで、どのような点を『捨てる覚悟』で臨むべきだとお考えですか?」という内容だった。藤田氏は、自民党との駆け引きの難しさを「公明党さんも多分、その中の苦しみがあったと思うが、10個飲ますと100個飲まされますよね、これ? その苦しみの中でバランスを取っていく難しさを、公明党さんもずっと自民党との緊張感の中でやってこられたんだろうなと......」などと語った。さらに、何を譲るかの取捨選択の難しさにも言及した。「何を重きを置き、そして何をある種、片目をつぶるかということは、これが多分、政治判断なんだろうと思う。ただ、自分たちが『ここはいいかな』と思ったところで、ものすごく失望されることもある」旧文通費で「首が飛びまして、引きずり下ろされたんですけれども......」さらに、国民民主党が目指していた、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」解除が実現しなかったことを引き合いに、「わが党も旧文通費で騙されました。これのせいで、(幹事長だった)私と前・馬場(伸幸)代表は首が飛びまして、引きずり下ろされたんですけれども......」などと振り返った。連立合意書に書き込まれた12領域48項目については、「これは約束して「『約束したでしょ』と言える」ものの、それ以外の分野での駆け引きの難しさを説明した。「(合意書と)違うところで『これは当然いいでしょ』と言われたときに、『いや、僕らと今まで言ってきたこと違うんですけど......』って、なかなかこれは議論として難しい話。こういうことは多分山ほどあって、そのあたりの取捨選択または押し引きが非常に重要」国民・玉木代表は、「意外かもしれませんが......」と前置きした上で、連立にあたっては「柔軟にやるべき」。ただ、「安全保障や原発を含むエネルギー政策」といった「国家の運営に関わる基本政策」はOS(基本ソフト)だとして、一致が必要だとした。その上で、改めて「そこさえ一致していれば、逆にその上の(OS上で動作する)アプリケーションは、私は何でもいいと思っている」と説明した。アイデンティティーで妥協すると「わが党を支持してくださった方々が去っていく」連立を離脱したばかりの公明・斉藤代表によると、「この26年間、『政治の安定』ということを一番のキーワード」として連立の一翼を担ってきた。その中で、「基本的なところの合意があれば、あとはそれぞれお互い努力しながら、信頼関係の上で譲るところは譲り、こちらも通すところは通し、というようなことをやってきた」と述べた。だが、「党のアイデンティティー」に関わる部分、つまり「政治とカネ」の問題で妥協しなかった結果、連立離脱に至ったと説明した。「しかし最後、その党のアイデンティティーに関わるところで妥協すると、わが党を支持してくださった方々が去っていく。そうしたら、もうわが党は存在できない。そういうところで今回こういう決断をした。それが現状だ」(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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