高市早苗首相の台湾有事に関する発言をめぐる日中間の摩擦がヒートアップするなか、2025年11月19日の情報番組「サン!シャイン」(フジテレビ系)で外務省の金井正彰アジア大洋州局長が中国外務省の劉勁松アジア局長と協議したことを取り上げたが、スタジオが驚きに包まれたのは劉局長の格好だ。劉局長は両手をポケットに入れたまま金井局長と並び、アゴを前に出すようにして話す、まるでヤクザ映画のような場面だ。峯村健司さん「中国では盛り上がっているようです」両局長は協議後に外務省の建物の外に姿を現した時の様子だが、一方の日本側、金井局長はうつむき加減で、見た目には上下関係がわかるような構図になっていた。朝日新聞の中国特派員として中国取材の経験もあるキヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司さんは、中国の知人からこの時の動画がたくさん送られてきたと話す。「『ほら見ろ、我々の勝利だ』という感じで、中国では盛り上がっているようです。金井局長は別に謝っているわけではないがこの写真をバシッと抜いて『日本が謝罪に来た。我々はしっかり言うことを言って指導してやった』という上から目線の立場ですね」撮らせるためにやっているMCの谷原章介さんが「じゃあ、金井さんは行かなければよかったんですか」と聞くと「う~ん、難しいところだが行くことが重要だとは思う」との応答に、佐々木恭子アナウンサーも「こういう動画も普段見ることができないけれど、じゃああえてこの動画を出すことが中国側は目的だった?」と聞く。峯村さんは「その通りです。あそこは中国外務省の敷地でこんなところで普通は自由に撮れない。国営メディアもがんがんこれを流しているところを見ると、いわゆるやらせじゃないけれど、撮らせるためにやっている。また劉局長のぶら下がり取材記者に局長が答えていますが違和感しかない」と中国側の思惑を推察した。元NHKの政治記者でジャーナリストの岩田明子さんはこう話した。「日中間は常に山あり谷ありでずっと課題があり続けてきた。次官級や大使の間で対話が大事だというのはお互いが認識していると思う。G20では李強首相が高市首相と面会する予定はないというが、首脳会談の前の控え室は首相と通訳しかいないのでさっと挨拶をするとか、『どういうことなの』と(声をかけるとか)トライしてみる必要はあるのではないか」普段の劉局長は人前で人民服のポケットに両手を突っ込んだことなど一度もなかったはずだ。中国人民が喜びそうなパフォーマンスをしたのか。(ジャーナリスト 佐藤太郎)
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