「身を切る、と言うならば、議員数を減らさずに報酬を減らせばいい」 谷口将紀・東大教授の提案に注目

多党化時代の今こそ、根幹から大転換するチャンスか

   有権者の関心は「ともかく物価を下げてほしい」が中心で、「一票の平等を」「新しい選挙制度はどんなものがあるのか」といった問題には、当面向きそうもない。

   現在の「小選挙区比例代表並立制」の導入が決まったのが1994年の細川連立政権で、30年余りが経過するが、批判があってもなかなか選挙制度改革には手がつかない。現行の選挙制度で選出された議員たちが、自ら生み出した制度の変更に手を付けるのは、自殺行為にもつながりかねないからだ。

   18日に開かれた「衆議院選挙制度協議会」では、自民・維新の連立2党間協議でなく、少数政党の意見も反映させる与野党全会派の「協議会」で結論を出すよう求める意見が相次いだ。日本維新の会は「今国会中の定数削減法案提出が自民党との約束だ」(藤田文武共同代表)と強気の構えを崩さないが、「連立合意文」では、「25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す」と表現を緩め、「逃げ道」も透けて見える。

   当面は来春に出る国勢調査結果による「定数是正」の処理を迫られるが、将来的に「都道府県比例代表制」などの抜本改革に結びつく可能性もある。

   少数与党・多党化時代を迎えた今、選挙制度など政治制度を根幹から大転換するチャンスとも言える。日本維新の会が、少数与党の連立離脱騒ぎに滑り込んだ「あだ花」のようにも見える「定数削減」問題が、案外、選挙制度の大改革に結びつく可能性もゼロとは言えない。

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

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