「独善的で無反省な態度」斎藤知事再選から1年に厳しい評価 「適正、適法」繰り返すも捜査はまだ続いている

「県民をはじめ多くの皆様に支えていただきながら県政を前に進めることができました」

   斎藤元彦兵庫県知事は、再選から1年を迎えた2025年11月17日、YouTubeに感謝のメッセージを投稿した。節目ということもあり、メディアの単独インタビューにも積極的に応じ、政策を前に進めると語った。一方で、定例記者会見では一連の告発文書を巡る追及が続いている。会見では、斎藤知事が「適正、適法な対応だった」と繰り返す姿が目立った。

  • 定例会見で話す斎藤元彦知事(2025年7月2日撮影)
    定例会見で話す斎藤元彦知事(2025年7月2日撮影)
  • 「ひょうご楽市楽座」を視察した際の斎藤知事(2025年8月)
    「ひょうご楽市楽座」を視察した際の斎藤知事(2025年8月)
  • 百条委員会で委員長を務めた、奥谷謙一・兵庫県議(写真中央)
    百条委員会で委員長を務めた、奥谷謙一・兵庫県議(写真中央)
  • 定例会見で話す斎藤元彦知事(2025年7月2日撮影)
  • 「ひょうご楽市楽座」を視察した際の斎藤知事(2025年8月)
  • 百条委員会で委員長を務めた、奥谷謙一・兵庫県議(写真中央)

「公益通報の問題含めて、適正、適法、適切に対応」

   11月19日の定例記者会見では、昨年の知事選でPR会社に選挙運動の報酬を支払った公選法違反の疑い(不起訴)に関する質問があった。記者は、なぜPR会社社長が「広報全般を任されていた」とSNSで主張し、知事側との認識のずれが生じたのか、と問うと、斎藤知事は、

「これまで同様に差し控えたいと思う。捜査機関において、十分な捜査が尽くされた結果、不起訴という判断が出たと思う」

と述べた上で、「対応については適正、適法にしてきたという認識」と語った。

   また、公益通報者保護法を巡り斎藤知事に迫る記者も。知事は25年3月26日の会見で、同法の法解釈を巡り、「3号通報(外部通報)も含まれるという考え方がある一方で、内部通報に限定されるという考え方もある」と発言。消費者庁が兵庫県にメールで「国の公式見解と違う」と指摘していた。当時の会見では「消費者庁の法解釈はしっかり受け止めなければならない」などと述べ、見解が同一かどうか明言は避けていた。

   この日も記者から「消費者庁の見解と知事の見解は同じなのでしょうか、違うのでしょうか」と問われるも、

「公益通報の問題含めて、適正、適法、適切に対応してきておりますので、引き続き対応していきたい」

と質問に答えず、その後も記者から追及されたが、同様のやりとりを繰り返した。この日、斎藤知事は「適正、適法」と10回発言していた。

「自分に投票してくれた110万人だけにしか目が向いてない」

   地元紙の神戸新聞は11月17日、「分断の収束へ説明尽くせ」と題した社説を掲載。告発文書問題に端を発した県政の混乱はいまだに収まっていないと指摘した上で、「文書問題の対応は適切」とする斎藤知事の姿勢について、

「いずれの結論も『真摯(しんし)に受け止める』と言うものの、具体的な行動には移さず、受け流すばかりだ。独善的で無反省な態度は行政トップとしての資質に欠けると言うほかない」

と批判した。

   また、在阪各局でも夕方のニュース番組で斎藤知事再選1年を振り返る特集が放送された。

   11月20日の「よんチャンTV」(毎日放送)では、斎藤知事を巡る告発や定例会見の外で行われている反対デモの様子、再選後の県議会で知事提出議案の197議案のうち194議案が原案通りに可決している県政の状況などについて、担当記者が解説した。

   お笑いコンビ「チュートリアル」の福田充徳さんは次のようにコメントした。

「百条委員会に言われても『問題なかった』と言い続ける方なので、自分に投票してくれた110万人だけにしか目が向いてないのでは。全体の人に納得してもらいたいという気持ちがこの方はないという風に思う」

   記者は、斎藤知事が議会などで質問に一般論で答えるので、知事が質問に向き合って答えているのかが分からないとリポートしていた。

   斎藤知事を巡っては、7件の告訴・告発が不起訴処分となったものの、元県民局長の私的情報を県議に漏らすように元総務部長に命じるなどした地方公務員法違反の疑いで神戸地検の捜査が続いている。

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