斎藤元彦兵庫県知事が2025年11月19日の定例記者会見で発表した、関西学院大学(兵庫県西宮市)の法学部授業への出席を巡り、波紋が広がっている。会見で斎藤知事は「関西学院大の出席依頼があり」と説明していたが、同大学の法学部長の伊勢田道仁教授は、「当学部はこの件について機関決定をした事実はありません」などとSNSに投稿し、食い違いが起きているのだ。大勢が押し寄せることを懸念、取材は受け入れず斎藤知事の会見での発言は、こうだった。「関西学院大学から地方自治体における政策の実態、そして状況などを学びたいというご意向があり、同大学の授業への出席依頼がありました」これによって、知事自身が参加することにしたという。J-CASTニュースは25日午後、関西学院大学を取材した。広報部の担当者に聞くと、斎藤知事が出席する授業は、学生らの安全を確保するとして、「対面やリモートの形式を含め、授業の方式を検討している」と述べた。そして、この騒動で授業当日にいろんな人が大学に押し寄せることを懸念しているといい「安全に授業を実施できることが一番に考えている。皆さん、冷静に対応してほしい」と語った。また、当日の取材も受け入れる予定だったが、受け入れない方針とした。なお、同日夜の神戸新聞の記事によると、同大学は斎藤知事の講演をリモート形式とすることに決めたという。兵庫県の総務部教育課にも25日、取材した。担当者は知事出席の経緯について、担当教授からゲストスピーカーとして出席の依頼があり、それに応じたものと説明した。斎藤知事は同日、関西テレビの取材に応じ、次のように述べた。「詳細は見ていないので、個別の投稿についてのコメントは控えたいと思う。大学内の手続きの詳細は承知していないが、あくまでこちらとしては関西学院大学の教授が授業の一環としてやるものですから、大学からの要請として受け止めている」「当学部はこの件について機関決定をした事実はありません」斎藤知事の授業出席を巡っては、同大学新聞のXアカウントが11月19日に告知した。これに返信する形で、同大学法学部長の伊勢田教授が22日、「法学部長(本物)です」と名乗ったうえで、次のように書いた。「斎藤知事は記者会見で関学から招待を受けた旨おっしゃっていますが当学部はこの件について機関決定をした事実はありません。総務省から3年任期で来た地域政策論の担当教授のゲストスピーカーです。報酬を伴わない場合は事前届出の必要がなく教授会の承認はされておりません」また、授業当日にデモ隊が押し寄せることを懸念し、知事のリモート出席を提案したものの、担当教授からは「従う義務があるのですか」と拒絶されたとつづっていた。そして、こんな心境も明かしていた。「私としては県知事のパフォーマンスのために関西学院大学法学部が利用されているような気持ちがして不愉快です」「今は無事に終わることを祈るのみ」関西学院大学法学部の善教将大教授も23日、Xに次のように投稿した。「教授会でも研究室会議でも本件の事前共有などはなく、私も記者会見の時にはじめて知ったので、驚きしかないというのが本音です。ただ、講義内容は担当教員の裁量に委ねられており、それは『学問の自由』を担保するルールの1つだと思いますので、今は無事に終わることを祈るのみです」斎藤知事は、11月27日に法学部の授業「地域政策論1」で「新たな躍動が広がる兵庫~次のステージへ~」と題して講演。県政に対する学生からの提言を受けたり、学生と知事との意見交換をしたりする予定だ。
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