プロボクシングの元WBA世界ライトフライ級王者・渡嘉敷勝男氏(65)が、2025年11月25日に公開された元世界王者・竹原慎二氏のユーチューブ動画「竹原テレビ」に出演し、プロ初黒星を喫した那須川天心(帝拳、27)に対して「ちょっとなめていたところがあった」との見解を示した。「井上はリングに上がってきた時の顔が、ものすごく良かった」WBC世界バンタム級王座決定戦が24日にトヨタアリーナ東京で行われ、同級1位・那須川は、同級2位・井上拓真(大橋、29)に0-3の判定負けを喫した。キックボクシングからボクシング転向後、8戦目にして初黒星となった。試合は序盤、那須川が持ち前のハンドスピードで主導権を握り、好スタートを切った。スピードを生かして距離を取る那須川に対し、井上は3回から距離を詰めて攻撃。これに対して那須川は受け身となり、井上が中盤戦を支配した。終盤に入っても井上の手数は減らず、那須川は劣勢に立たされた。勝負は判定にもつれ、2人のジャッジが4ポイント差、残るひとりが6ポイント差で井上を支持した。試合をテレビ観戦した渡嘉敷氏は、「(井上は)今回、相当気合が入っていた。リングに上がってきた時の顔が、ものすごく良かった」とする一方で、入場時の那須川に関しては、次のように評した。「天心選手は(リングに)上がってきた時、余裕の顔だった。『俺が勝つよ。勝つのが俺の人生なんだよ』と、そういう先入観があったのではないか。ちょっとなめていたところがあったかなという」今回の王座決定戦は、試合途中に採点が公開される公開採点ルールが採用された。4回終了時と、8回終了時にそれぞれ3ジャッジの採点が公表された。「那須川は攻撃パターンがワンパターンだった」渡嘉敷氏は、4回終了時、那須川が2ポイントリードと予想したという。だが、実際の採点は3ジャッジすべて38-38の同点だった。渡嘉敷氏は公開採点がもたらした影響について、「(井上は)ヨッシャーとなった。そこからガーッときた。(那須川陣営は)ポイントを取っていると思ったはず」と解説した。動画に出演した竹原氏は、渡嘉敷氏の意見に同調し、「(那須川は)攻撃パターンがワンパターンだった。もっといろいろなバリエーションがないと、井上選手みたいな選手には通用しない。あと、手数が足りない」と指摘した。キックボクシング時代は無敗を誇り「神童」と称された那須川。初の世界タイトル戦で敗れ、ボクシング戦績は7勝(2KO)1敗となった。スポーツ紙の報道によると、那須川は試合後、改めて世界王者を目指していくことを明言したという。渡嘉敷氏は今後に関して、「世界を取るためのステップにはなったと思う。これを反省にして。いい経験になった。世界は甘くないんだよという。あとは、(復帰後)どのチャンピオンとやるか。あと1、2試合挟んですぐに(世界タイトル戦を)やるでしょう。来年中にはやると思う。世界の実力があるから。今回は、その実力を出せなかったということ」と語った。
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