中国・習近平国家主席が高市早苗首相に頭に来たのは、実は台湾有事答弁がきっかけではなかった。韓国で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、2025年10月31日に行われた日中首脳会談で、習氏にとって言われたくないことを高市氏は口にしてしまったという。「時間がかかるだろう」静岡県立大学グローバル地域センター特任教授の柯隆氏は、11月26日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で、過熱する中国の反日キャンペーンの背景を解説した。「(日中首脳会談で)香港、新疆ウイグル自治区の人権問題について、深刻な懸念を伝えたと、高市首相はおっしゃったんだけれども、これは習主席からすると中国の内政問題。初対面の日本の首相になんで言われなきゃいけないのかと、相当頭に来たんですね」それに追い打ちをかけるような台湾有事を巡る答弁だったので、メンツをつぶされたと習氏は完全に切れてしまったというのだ。とすると、台湾有事について、党首討論で「言い過ぎだった」とにおわせたぐらいでは、中国は振り上げた拳を下ろしそうにない。「モーニングショー」水曜コメンテーターの浜田敬子さん(元「AERA」編集長)は、「時間がかかるだろう」と見る。中国ビジネスに長年かかわっている経済人からは、「日本政府も日本企業の経営層も事態を甘く見ている」というメールがきていると報告した。中国政治は忖度とメンツと権力闘争でできている「(その経済人によると)習近平さんが怒っているということに対して、官僚とかが忖度して、次々と自分の担当ではこういうこと(反日キャンペーン)ができますよと競うわけですね。中国の政治というのが、忖度とメンツと権力闘争でできていることを知れば、(今回の事態も)なかなか終息しないんじゃないかと、(その経済人は)かなり強い懸念を持ってらっしゃいました」11月24日の習主席とトランプ大統領の電話会談では、台湾問題も議題になったという。トランプ大統領に仲介してもらうというのも、一つのアイデアではないか。(シニアエディター 関口一喜)