メガネチェーン「Zoff(ゾフ)」を運営するインターメスティックが2025年9月2日、約191億円を投じて老舗メガネチェーン「メガネスーパー」の運営会社を買収すると発表した。かつて業界の「王者」として君臨していたメガネスーパーが、新興勢力の傘下に入ることに驚きの声が上がっている。
インターメスティックは買収により店舗数はほぼ倍の617店舗、売上高は700億円超となる。これで業界は「3強」体制に移行することになり、さらなる再編の動きにも注目が集まっている。
メガネスーパー、新興勢力に押され上場廃止
1970年代から80年代にかけて、メガネ業界ではメガネスーパーなど大手チェーンが台頭し、チェーンオペレーションによる多店舗展開を進めた。当時メガネは高額な買い物で、一般的なメガネ一式をつくるには数万円かかるケースが一般的だった。
メガネスーパーは1990年代にはプロレス団体SWSのスポンサーを務めるなど、さまざまな方面へのスポンサー活動も行い、業界での存在感を示していた。ピーク時の2007年には店舗数は500店超、売上高は380億円に達した。
そんな業界に異変が生じたのは2000年代に入ってからだ。01年にJINSとZoffが相次いで参入し、1万円以下の低価格商品を販売する店が増えた。
メガネスーパーも対抗値下げに走ったが、太刀打ちできず、08年4月期に営業赤字に転落。11年には債務超過に陥り、一時は経営の継続さえ危ぶまれた。その後、13年に星崎尚彦氏が社長に就任して以降、低価格店との差別化を図った「アイケアカンパニー」路線で業績を回復させた。
しかし、23年には、前社長の指示で減損損失を回避するため不適切な会計処理があったことが第三者委員会から報告された。23年10月には投資ファンド「日本企業成長投資」傘下のHorusが株式公開買い付け(TOB)を実施し、24年1月に上場廃止となった。
また、メガネスーパーと同じく老舗のパリミキホールディングスの売上高は2000年代には一時800億円を超えていたが、25年3月期は507億円と落ち込んでおり、従来型大手の苦戦が続いている。