楽天グループの動画配信サービス「RakutenTV」が2025年12月1日、無期限で何度も視聴できる「購入コンテンツ」の販売および視聴を終了すると発表した。これに対し、「流石に酷い」「おかしいでしょ」などと不満の声がSNS上で相次いでいる。ITジャーナリストの井上トシユキ氏は取材に対し、「動画が見られなくなったときは素直に諦めるような距離感で向き合うことが大事だという気がします」と話す。「レンタルコンテンツ」「定額見放題」は引き続き利用できるRakutenTVの発表によると、「購入コンテンツ」の販売は25年12月25日12時に終了する。購入済みのコンテンツの視聴可能期間は26年12月までを予定しており、この期間を過ぎれば、ダウンロード済みでも視聴不可となる。そして、返金は受け付けていない。一方、視聴期限がある「レンタルコンテンツ」や、定額料金で一定期間は何度も視聴できる「定額見放題」などは引き続き利用できる。つまり、「購入コンテンツ」の販売および視聴のみが終了する。なおRakutenTVの利用規約を見ると、「購入」コンテンツでも、配信・視聴を停止する場合があるとしている。「当社が本サービスの提供を終了した場合」や「コンテンツの提供元の都合により、本サービスにおける購入作品の配信が終了した場合」を含め計4つの理由を挙げている。RakutenTVは「選ばれなかった側」、「購入=所有」の勘違いもITジャーナリストの井上トシユキ氏は、今回の終了について次のような見解を示す。「動画配信サービスの市場は飽和状態で、競争が一段落して勝ち残るところがはっきりしてきた。無駄なサブスクリプションを減らす動きが広がる中、RakutenTVは『選ばれなかった側』だという印象を受ける」購入済みコンテンツの視聴終了に対する不満について、井上氏は、利用者間では「購入=所有」という認識があった一方、デジタルプラットフォーム上では、「購入=コンテンツの期限付きレンタル」だったという思い違いがあったとみる。つまり、利用者側にも一定の責任があると指摘した。また、プラットフォーム側にも改善の余地があると指摘する。動画視聴に関する選択肢を増やしていれば、ユーザーの不満が広がらなかったのではないか、と述べる。例えば、レンタル期間を細かく設定し、ユーザーの様々な要望を応えるなどのサービスをすることだ。「円盤」買っても10回以上見返すのは「非常にまれ」では、利用者はデジタルコンテンツにどのような距離感で向き合えばいいのか。井上氏は、何らかの作品のDVDやBlu-rayを購入しても、10回以上見返すような作品に出合うのは「非常にまれだ」とする。「動画に対する所有欲は、実は割と移ろいゆくものなんですよね。自分の手元にあることを過大評価せず、動画が見られなくなったときは素直に諦めるような距離感で向き合うことが大事だという気がします」それでも所有したいのであれば、「物理的に持っておくことが一番良い」と、井上氏。「元々デジタル上の映像コンテンツはサンプル動画みたいな感じが多かった。心持ちとしては、そういう距離感だと割り切っておくことが重要かもしれない」としている。
記事に戻る