高市首相の「台湾有事」発言撤回を求めて中国が様々な角度から圧力をかけ続けるなかで、2025年12月4日の情報番組「サン!シャイン」(フジテレビ系)は気になる3つの報道について分析を試みた。中国要人が日本企業に接近する一つめの問題は、日中局長級協議後に劉勁松アジア局長の「ポケット姿」が話題になったが、協議後すぐに劉局長が遼寧省大連にある日本企業を訪れ「中国で安心して企業活動してほしい」と発言していたという報道だ。キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司さんは「日本企業が中国から撤退すると、中国政府が気にしている失業率に影響して社会不安につながる。それがこの矛盾した対応につながっている」と指摘した。峯村さんは「ポケット姿対応が報道された同じくらいのタイミングで、東京の中国大使が経団連のトップに会って、日本企業どんどん来てほしい旨を伝えている。中国側としては日本企業が撤退していることを恐れているということの裏返し」と解説した。「政府に批判が向かわないように火消しに必死」次に、中国でも人気のあるアーティストの浜崎あゆみさんのコンサートが中止になった後に無観客コンサートを実施したという話だ。浜崎さんが自身のインスタグラムにそれを投稿し、中国国内で「誠意ある対応」などと好感を示す投稿が相次いだ。中国メディアが「一人コンサートは虚偽」と報道、峯村さんは「政府に批判が向かわないように火消しに必死」と背景を説明した。現地のファンが無観客コンサートを知り「中国政府は何をやっているんだ」とSNSで広まったことに対し、峯村さんは「これはフェイクニュースだとやらないと収まらないぐらい国内では問題になっている」と中国の現状を推察する。「ちゃんと日本を制裁しろ」の大号令?スペシャルキャスターの杉村太蔵さんは「もう一度、中国側の厳しい姿勢の狙いを整理したい」と聞く。峯村さんは「習近平氏の頭の中にあるのは台湾です。台湾の統一のためには、経済が多少犠牲になるのは仕方がないと思っている」とズバリ。タレントで作家の遙洋子さんは「中国はこぶしを振り上げながら、ビジネスのほうでは損を選びたくない、エンタテインメントもこれだけ露骨に邪魔をしながら大勢いるファンの反発はくらいたくない。非常に戦い方が及び腰に見えるんですけど」と話す。峯村さんは「及び腰というか、なぜ空回りしているかというと、習近平の超一強体制なんですね。習近平氏が『ちゃんと日本を制裁しろ』と言って、みんなびっくりしてビビッちゃっている。それを一所懸命やっている。これが、ギクシャクしている状況ですね」と話した。三つめの問題が「琉球は日本ではない」という中国メディアの報道である。峯村さんはこれを「台湾統一に向けた切り札」と位置づけた。「中国からすると我々の領土である台湾に口を出すなら、我々が日本の領土である沖縄に口を出すという報復ですね」と話した。(ジャーナリスト 佐藤太郎)
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