格安航空会社(LCC)「スプリング・ジャパン」(千葉県成田市)の成田発上海(浦東)行きの便で乗客と客室乗務員とのトラブルがあり、この便が成田空港に引き返していたことが分かった。中国メディアの報道によると、男性客が一緒だった女性客の隣の席にするよう求めたという。成田では、警察も出動した。このトラブルについて、スプリング・ジャパンと千葉県警に取材して話を聞いた。「それじゃ、降りよう」「私は知らない」警察官と応酬「どの人?」。千葉県警の警察官2人が航空機内の通路を歩き、周囲の乗客に声をかける。乗客らが指し示すと、警察官は、トラブルを起こした客に向かい合い、「それじゃ、降りよう」「はい、OK?」と右手で手招きする。「私は知らない」と英語の声が聞こえ、警察官が「この人?」と客室乗務員2人に聞くと、乗務員らは、「はい」と答えた。「あの~、他のみんなが迷惑しているから。みんなが迷惑しているから、降りましょう」今回のトラブルについて、他の乗客が撮影したとみられる動画がネット上に投稿されており、こんなシーンが映っていた。スプリング・ジャパンは、中国のLCC「春秋航空」が日本で12年に設立した。21年からは、日本航空(JAL)のグループ会社として、中国への国際線や日本の国内線を運航している。今回の上海便「IJ005」便は、12月1日19時20分ごろに成田を出発した。中国メディア「極目新聞」が乗客に取材したところでは、男性客は、一緒に旅行していたカップルの女性客と別々の席になり、客室乗務員に対して隣の席に変更するように求めた。しかし、乗務員がこの要求を断ったため、口論になったという。口論は、2時間近くも続いたと証言する乗客もいたと伝えた。ネット上で投稿された動画については、中国メディアも、千葉県警の警察官が男性客と向き合ったシーンとみられる画像をキャプチャーして記事に掲載している。LCCとして、事前に座席を買い求める必要があったこのトラブルで、上海便は、出発から約2時間20分後に成田へ緊急事態で引き返し、22時50分ごろに成田に到着した。中国メディアによると、男性客は、警察に連行され、他の乗客は、補償金約1万円の支給を受けて、翌2日10時の成田発の代替便で上海へ向かったとしている。スプリング・ジャパンの広報担当者は、J-CASTニュースの取材に対し、上海便が引き返した経緯について説明した。それによると、トラブルを起こした客は、「座席を移動したい」と客室乗務員に要望した。しかし、LCCとして、事前に座席を買い求める必要があるため、乗務員が拒否したところ、客が「納得できない」として騒ぎ出したという。「説明に従っていただけず、座席をめぐるトラブルになって、機内で安全阻害行為が発生しました。トラブルが長時間にわたって続き、安全運航の継続が難しいと判断し、成田に引き返しました。他のお客様には、宿泊相当分の金額をお支払いしました」トラブルを起こした客に対して、警察に被害届を出したか、損害賠償は請求したか、については、回答は差し控えたいとした。今回の男性客と客室乗務員とのトラブルは、どんな状況だったのだろうか。千葉県警の成田国際空港署は12月4日、次のように取材に説明した。「機内トラブルがあって、乗務員の話を聞かず、引き返して来たと聞いています。トラブルは、ご家族のことについてだと思います。安価で運航しており、追加料金の規定があって、決まった席を変えられないことを巡るトラブルだと聞いています。機長が警察に通報してきて、事情を聴くため、現場に警察官を派遣しました」ただ、トラブルを起こした客を逮捕するなどはしなかったという。「航空会社から被害届が出ていませんので、事件の捜査はしていません。これ以上、細かい内容については、説明を差し控えたいと思います」(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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