2025年12月1日、ウエルシアホールディングス(HD)とツルハホールディングスが経営統合し、売上高2兆円を超える巨大トップ企業が誕生するなど大きな転換期を迎えつつあるドラッグストア業界――。
そのドラッグストアが今、「変身」している。主に医薬品や化粧品を買いに行く場所というイメージは過去のものとなり、食品や日用品を買い求める消費者が増えているのだ。
業界全体の販売額は年間ベースで約8.5兆円にまで伸び、そのうち食品カテゴリーが約3割を占めるようになった。物価高騰で節約志向が強まる中、「近くて便利」なドラッグストアが消費者の買い物先として存在感を増している。
コンビニに迫る10兆円市場、食品が成長のエンジン
経済産業省「2024年上期⼩売業販売を振り返る」によれば、24年上期のドラッグストア業界の商業販売額は前年同期比7.9%増の4兆3045億円であり、年間ベースで8.5兆円超となる。これは百貨店の商業販売額(24年上期:3兆909億円)を上回っており、ドラッグストア業界の存在感が一段と高まっていることがうかがえる。
興味深いのは、その成長を牽引しているのが食品だという点だ。同レポートによれば、ドラッグストアにおける米や調味料、冷凍食品といった日常の食卓を支える商品群が売上の約3割を占めるまでになった。食品類の販売額は前年同期比10.9%の伸びとなっており、全カテゴリーの中で最も高い伸び率となっている。
ドラッグストアの店頭を見ると、日配品や冷凍食品の品揃えを充実させる店舗が目立つ。一部では生鮮食品も取り扱っており、スーパーマーケットとの競合が本格化。業態間の境界線が曖昧になりつつある。