パソコンについて、「買うなら今です......!!」などと国産メーカー「マウスコンピューター」(東京都千代田区)が公式Xで呼びかけて、反響を呼んでいる。メモリが高騰して、値上がる恐れがあるというのが理由だ。どんな状況になっているのだろうか。「PCが売り切れてしまうような状況ではございません」「現在パソコン購入をご検討中の方へ」。マウスコンピューターの公式Xは2025年12月10日、こう切り出して消費者に呼びかけた。「悪いことは言いません、なるべくお早目の購入をオススメします!!本当に!!買うなら今です......!!」その理由には触れなかったが、メーカーが緊迫した声明を出すのは異例だ。この投稿は、3万件以上の「いいね」が集まり、様々な声が寄せられた。周辺機器メーカー大手「エレコム」が、「ほんとに・・・」と公式Xで反応し、マウスコンピューターも、「いやほんとに 助けて......」と悲鳴を上げた。同社は、リプライに次々に反応しており、メモリが高騰しているためかと聞かれると、「それです」と答えた。「正直すでに来てます......」「もっと怖いのは来年の新生活需要ですかね......」さらに投稿を続け、各社ネットニュースにも取り上げられて、情報が拡散した。その影響で、同社の公式サイトを見に行く人が殺到した模様で、翌11日には、「アクセス集中しており、繋がりづらい状況で大変申し訳ございません......」と謝罪した。そのうえで、「今日すぐにPCが売り切れてしまうような状況ではございませんのでご安心ください」と冷静な対応を呼びかけた。サーバーを増強した結果、この日のうちにはサイトにつながりやすくなったという。リプライを見ると、消費者の反応は複雑だった。「それだけ事態は深刻ということ......」「これ見て買ってしまった」といった声が上がる一方、「そんなに上がるとは思えないけどね」「情弱騙す口実だぞ」と疑心暗鬼になる向きもあった。「今後の状況により製品価格に反映する可能性はございます」とはいえ、識者らからは、メモリの高騰に伴って、パソコンが値上がりする可能性はすでに指摘されていた。ITジャーナリストの篠原修司さんは12月6日、「メモリ高騰でパソコンが買えなくなるかも? 26年はさらに値上がりする恐れ、いま買うべき理由とは」と題する記事をヤフーニュースに投稿した。そこでは、11月からメモリ価格が高騰しており、「パソコンを買うのであれば『いま』です」と強調した。26年はさらにメモリが不足し、「来年は同じ価格では買えないと思います」と注意を促した。価格が落ち着くのは、27年下期とみられているという。メモリ高騰の背景には、世界的なAI需要の増加があるという指摘が多い。米半導体大手マイクロン社が3日、AI需要に対応するため、個人向けメモリ事業から撤退すると発表したことも、その表れだとされている。また、SSDといったパソコンに必要なストレージも高騰している。アイ・オー・データ機器は10日、SSD、HDDなど165製品の価格を26年1月14日から最大54.8%引き上げると発表して、波紋が広がった。メモリやストレージの高騰で、パソコン各社も値上げに踏み切らざるを得ないとの観測も強まっている。実際、パソコンへの注文が急増するなど影響は出ているのだろうか。こうした点について、マウスコンピューターの広報室は12日、J-CASTニュースの取材に対し、「お問い合わせ件数やご注文数の詳細については、社内情報に関わるため、公開を控えております」と答えた。今後、値上げなどを行う可能性があるかについては、こう述べた。「メモリ価格は世界的な半導体市場の動向に左右されるため、今後の状況により製品価格に反映する可能性はございます。当社としては、お客様に安定した製品をお届けできるよう最大限努めております」(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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