1枚500円が460円にしか使えないものなんか配れないと、地方自治体から総スカンの「おこめ券」。
発行元の全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)と全国農業協同組合連合会(JA全農)はとうとう1枚480円程度に値引きし、鈴木憲和農林水産相は「お米しか買えないわけではなくて利用店が認めた商品の購入も可能」と売り込みに大わらわだが、配布に手間やコストがかかることには変わりない。
評判悪く、欠点を挙げればきりがない
「そもそも、高市早苗首相がちゃんと説明しないのが問題」と舌鋒鋭く指摘したのは、経済評論家の加谷珪一氏だ。2025年12月12日放送の「報道ライブ インサイドOUT」(BS11)でこう語った。
「評判悪いですよねえ、おこめ券。経費が掛かりすぎるとか、不効率だとか、ニーズに合わないとか、自治体に押し付けだとか、欠点を挙げればきりがないんですが、私は最大の問題は、高市政権の農政の転換にあると思っているんですね」
石破政権では事実上の減反政策を止めて、増産して安く広く提供する、輸出も振興するという方向にかじを切ったのに、高市政権になって、やっぱり生産量は抑えめ、価格は高く維持するという方向にガラッと変わってしまった。
ところが、この政策転換について、「高市さんの口からちゃんと説明がされていない」ことが、おこめ券の混乱につながっていると加谷氏は見る。
「値段が上がる」「暴落する」不安心理が増大
「こういう(農政の混乱の)中で、おこめ券を配っちゃったら、ますます値段が上がるんじゃないかとか、今度は高すぎるんで買わないから、逆に余って暴落するんじゃないかとか、不安心理が増大しちゃってるんですよ」
今後は鈴木農水相の責任問題も出てきそうだが、加谷氏は「おこめ券自体の良し悪しの問題もあるんですけど、まずは高市さんに一回、日本の農政をどうするつもりなのか、ちゃんと説明してほしいなあと。そこに恐らく大きな問題があるんじゃないかなと思います」と、重ねて指摘した。
2026年にはあるかもしれない解散・総選挙を考えて、高市首相が大票田の「自民党農林族+JA農協+農水省官僚の米価トライアングル」の復活を考えていることはないのか。
(シニアエディター 関口一喜)