「幹事社に見解を求める行為はお控えいただきますようお願いいたします」斎藤元彦兵庫県知事の2025年12月10日の定例記者会見冒頭、記者クラブの幹事社から知事に、こんな発言があった。最近の会見で記者が不規則発言をした際、知事が幹事社に見解を求めることがたびたびあった。不規則発言する記者には「他者のお話に重なることがないよう」会見は記者側の質問の前に、記者クラブの幹事社から、会見内で不用意な発言が続いていることに、次のような呼び掛けがあった。「司会が指名した以外の者が不規則な発言をするなど、会見の進行を妨げる行為があった場合は、その場での退室や今後の会見参加をお断りせざるを得なくなる場合もあります」その上で「この会見に参加するすべての皆様におかれては、ご発言が指名された際に、他者のお話に重なることがないようにしていただくようお願い申し上げます」と述べた。また、知事に対しても「お願い」として、会見時間を1時間程度とする運用に対し、できるだけ時間を確保し、質問が尽きるまで対応してほしいと求め、「その際、質問の趣旨を的確に捉え、より率直なご回答をいただけますようお願いいたします」と要望した。そして、不規則発言に対し、幹事社に見解を求める行為について、次のように苦言を呈した。「我々記者サイドでは、会見の進行などに問題があると判断した場合は、自主的に協議の場を持って対応してきておりますので、幹事社に見解を求める行為はお控えいただきますようお願いいたします」知事は幹事社からの言葉に、ときおりうなずくそぶりを見せていた。「議会にはいろんな受け止め方が」会見では、告発文書問題の情報漏えいを巡り、斎藤知事がその管理責任を取るため、自身の給与を減額する改正条例案が県議会で3度目の継続審議となる見通しに関する質問があった(12月12日、県議会で条例案の継続審議が決定)。斎藤知事は2025年6月に自身の給与を現行の30%から50%に減額する改正条例案を県議会に提出。県議会は「事実関係が明らかでない中、判断できない」などとして継続審議とし、9月にも同様の判断となっていた。12月の県議会には、これまでの条例案に記されてこなかった「情報が適切に管理されなかったことに対する責任」を県側が明記し、可決の公算が高まっていたが、斎藤知事は記者会見などで「内容は変わらない」「技術的な修正を行った」などと説明をしたことで県議会の反発が強まっていた。記者から知事の発言がきっかけで反発を招いたことを問われると、斎藤知事は「議会側にもいろんな受け止め方があると思う。最終的に議会側が今回の議案についてどのように判断されるかということだと思う」となかば他人事のように回答した。「適切、適法」の言葉を少し変えただけまた、公益通報者保護法に対する知事の認識を巡って、記者が「個別具体的な事案についてはおうかがいせずに、文書問題についても一切触れません。公益通報者保護法の改正前の解釈についてのみお尋ねしますので、県としては適切、適法に対応しているというお答えは成り立ち得ないので、その言葉を発言されないように、強く要望する」と前置きした上で、「県では法の指針を遵守されているのでしょうか」と尋ねた。斎藤知事は「公益通報者保護法に関する対応については、法の趣旨等を踏まえ、適切に認識、理解し、対応しております」と「適切、適法」の言葉を少し変えた上で回答した。この後も記者から関連質問があったものの、同様の発言を繰り返した。
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