スマホを置くと充電できて「凄い!画期的」 調布市が設置した「あるもの」とは

   「ここでスマートフォンのワイヤレス充電が可能です」。そんな案内表示に導かれて、スマホを置くと......。

   まるで魔法のように充電が始まったと、X上で写真が投稿されて話題になっている。

  • スマホを置いて充電(プレスリリースから)
    スマホを置いて充電(プレスリリースから)
  • 座面の裏には蓄電池(プレスリリースから)
    座面の裏には蓄電池(プレスリリースから)
  • スマホを置いて充電(プレスリリースから)
  • 座面の裏には蓄電池(プレスリリースから)

「初めて知りました」「凄い!画期的」

   写真を見ると、茶色い座面の中に黒い部分がある以外は、普通のベンチだ。

   それが、半信半疑ながら、スマホを表示の部分に置くと、本当に充電が始まった――2025年12月21日にX上でこんな投稿があり、注目を集めている。

   投稿は、9万件以上の「いいね」が集まっており、その正体について、様々な推測が書き込まれた。

   投稿者は、リプライの質問に応じて、東京都調布市内にある鉄道敷地の遊歩道にベンチを4つほど見かけたと説明した。そして、災害時に備えて、太陽光発電で充電するためのものではないかとの見方を示した。ベンチの裏には、蓄電池らしきボックスもあった。

   このベンチについては、「初めて知りました」「凄い!画期的」「めちゃ有難い」と驚く声が上がった。その一方で、「スマホ置き忘れそう」「座って太陽光の効率落ちないの?」などと疑問点も書き込まれている。

   ボックスには、製品のロゴもあったことから、リプライする人たちの間で、メーカーも特定された。

   遊具やベンチを製造・販売するメーカー「コトブキ」(東京都港区)で、このベンチは、電装機能を搭載した「eX(エックス)エフラインシリーズ」の商品として、同社が24年10月に発売した。公式サイトを見ると、税込30万円前後で販売されている。

   太陽光を蓄電し、非接触充電できるスマホに対応しており、蓄電池が満充電のときは、スマホを約13時間充電でき、約4台分可能という。ただ、座板のソーラーパネルに1日6時間以上の日光を当てる必要がある。

   コトブキの担当者は22日、J-CASTニュースの取材に対し、調布市内に設置された製品は特注対応で、座面下などに照明機能も備えていると説明した。

「防災上、停電のときでもスマホを充電できます」

   X上では、大阪・関西万博でも見かけたとの声があったが、採用実績はなく、他社製品になるという。

「近年は『公共空間での滞在性を高めたい』といったニーズが高まっており、自治体や公園管理者を中心に関心を持っていただくケースが増えています。また、スマートフォンのバッテリー残量を気にせず外出できること自体が、これからのまちの安心につながると考えています」

   今後については、日常的な休憩や待ち合わせの場のほか、災害時や停電時にも役立つインフラとしての活用を促進していきたいとしている。

   今回のベンチは、京王線の地中化に伴い、調布市が鉄道敷地を京王電鉄から買い上げ、緑道整備の一環として24年度に設置した。緑道は、「ちょうふぽっぽみち」と名付けられており、京王線・調布~国領駅間に同じベンチが計17基ある。

   市のまちづくり推進課は12月22日、取材に対し、設置理由をこう説明した。

「蓄電池式のベンチにしたいと考え、市内で初めて導入しました。防災上、停電のときでもスマホを充電できますし、ベンチ下のライトは、人が通るための誘導にもなります。もちろん、日常的にも気軽に充電して使えますよ」

   導入当初は、「ちゃんと充電できない」という声もいくつか寄せられたという。

「天気が悪かったり、人が座っていたりすると、そうなるようです。スマホにカバーを着けていると充電できなかったという声もありました。今のところ、他に導入の予定はありませんが、需要に応じて検討したいと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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