件数は減ったものの「駆除反対派」の割合が大きく
10月16日に岩手県北上市の温泉旅館で従業員の男性がツキノワグマに襲われて死亡した事故も、大きく報じられたクマ被害の1つだ。報道によると、男性は16日、露天風呂の清掃中に行方不明になり、翌17日に雑木林で遺体が発見された。同日に近くにいたツキノワグマ1頭を駆除し、後にDNA分析によりこのクマが被害者を襲ったクマだと断定された。この事故で亡くなったのはプロレスのレフェリーを務めていた笹崎勝巳さんだったと報じられたことも注目を集めた。
北上市ではこのほかに2件、クマによる死亡事故が発生している。1件目は7月4日に80代の女性が亡くなった事故だ。11日にクマが駆除され、後にDNA分析によりこのクマが女性を襲ったクマだと断定された。
2件目は、10月8日にキノコ狩りに出かけた男性がクマに襲われ死亡した事故だ。なお北上市は、事故現場から採取した毛からツキノワグマと判明したものの、サンプルの量や質が十分ではなく、17日に駆除したクマと同一個体かどうかは不明だとしている。
市農業振興課の担当者はJ-CASTニュースの取材に、7月の事故が起きた際には、電話で20件ほどの問い合わせが寄せられたほか、メールでも意見があったという。約7割がクマの駆除に賛成、約3割が自然保護の観点から駆除に反対するという意見だったという。
一方10月は、詳細な件数は把握していないものの、7月ほど問い合わせは寄せられなかったという。しかし、駆除に賛成する意見よりも「『なぜ駆除するんだ』というような意見が目立ちました」と明かした。こうした意見を寄せる人は「ほとんどが県外の方」だとし、「長い方はもう30分以上、1時間近く」話をすることもあったという。