福岡市、誤情報拡散に開示請求の方針 異例の強硬策に割れる賛否

   福岡市広報戦略室公式Xアカウントが2026年1月13日、SNSで拡散されている動画・投稿をめぐり、声明を発表した。

  • 福岡市役所。誤情報への対応が波紋を広げている
    福岡市役所。誤情報への対応が波紋を広げている
  • 福岡市のポスト。「開示請求の手続きを進めてまいります」の部分が議論を呼んでいる
    福岡市のポスト。「開示請求の手続きを進めてまいります」の部分が議論を呼んでいる
  • 福岡市役所。誤情報への対応が波紋を広げている
  • 福岡市のポスト。「開示請求の手続きを進めてまいります」の部分が議論を呼んでいる

「動画・投稿は、事実ではありません」

   Xアカウントは「現在、SNS上で拡散されている『福岡市で生活保護を断られた母子3人が亡くなった』という動画・投稿は、事実ではありません」と明言した上で、誤情報の拡散に注意を呼びかけた。

   「今後、投稿者に対し、発信者情報の開示請求の手続きを進めてまいります」という。

   SNSでは、福岡市城南区にあるマンションで6日、この部屋に母子3人で住む33歳の母親と6歳の長女、4歳の長男の遺体が見つかった事件をめぐり、さまざまな憶測が飛び交っていた。

   複数報道によると、玄関と窓は施錠され、外部から何者かが侵入した形跡はなかったことから、警察は生活に困窮した母親が無理心中をはかった可能性が高いとみて捜査を進めているとしている。

「いったい誰が彼らを殺したのか?」AI生成動画が拡散

   SNSでは、女性とベビーカーに乗った赤ちゃん、幼い子どもが写った家族写真や、実在する「福岡県粕屋保健福祉事務所」の写真などをスライド形式で組み合わせ、「いったい誰が彼らを殺したのか? 福祉事務所に助けを求めて拒否され 母子3人自宅で無惨な死」といった説明を添付した動画が拡散。

   AI生成によるナレーションでは、「福祉事務所に生活保護申請を断られた後 母子三人は寒波の中 餓死という最期を遂げた」「司法解剖の結果 母子三人はいずれも長期にわたる極度の栄養失調と脱水が死因」などとしていた。

   さらに、「死の約20日前 水道・電気・ガスが料金未納で止められていた」とした上で、母親は「福島市福祉事務所の窓口まで歩いて赴き生活保護を申請した」。「しかし窓口職員は書類に目を通すと『まずご親族にご連絡を』とだけ告げた」と説明。母親は実家や親族と疎遠だったとして、「待ち受けるのは支援ではなく 容赦ない侮辱と罵声だけだと彼女は知っていた」などと描写していた。

「粛々と開示請求を行い、告訴を行うべき」

   こうした動画投稿には、「2026年1月8日に報道された事件を元にした創作動画です」とのコミュニティノートが付けられた。「『生活保護を申請したが拒否された』との主張については、1月8日にThreads上のユーザーが用いた仮定の表現が誤って拡散されたもので、投稿者本人もすでに訂正しています。そのような事実を示す公的な情報、報道は確認されていません」としている。

   Xのほか、スレッズでも同様の情報が拡散。母親の遺書に「一人前のご飯も食べさせてあげられないでごめんなさい」と書かれていたとする投稿も注目を集めていた。

   福岡市の対応は、こういった情報の拡散を念頭に置いているとみられ、公式サイトの「重要なお知らせ」欄でも、「SNS上における生活保護に関する誤情報について」との声明を公開している。

   SNSでは、「憶測で生活保護断られたと言ってるの見かけて そもそもこの親御さんが生活保護の相談に行かれていたかもわからないのにと思ってた」「デマを拡散させるような連中はこのように粛々と開示請求を行い、更には損害賠償請求もしくは偽計業務妨害罪での告訴を行うべきだと思うのだが」などとする声も多い。

   一方で、「今回みたいなケースで母子3人が死なないで済むような広報戦略をすべきなのでは?」「仮に"生活保護を断られた"のは事実じゃなかったとしても、生活に困窮した結果がこれだとしたらもう少し何か出来ることがあったんじゃないの? 福岡市さん」といった意見もある。

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