高市早苗首相は1月に衆議院を解散して、2月に総選挙の投開票を行うと2026年1月19日夕方に正式に表明する予定だが、野党からは「大義なき解散」と追及され、自民党内でも「聞いてないよ解散」と不満が募っている。「解散は総理大臣の専権事項」、解散するしないは、首相が自分一人だけで決められる特権というのが"政界の常識"となっているからだ。その「常識」はどうなのか?
「首相の専権事項」は永田町周辺だけで通用する言葉
TBS系報道番組「報道特集」は1月17日の放送で、「総理の専権事項というのは本当か?」と問題提起した。日下部正樹キャスターは「解散の度に語られる『解散は総理の専権事項』という言葉、公的に定められた総理の特権でも何でもないんですよ。法律のどこにも書いていないし、永田町周辺だけで通用する言葉と言っていいと思うんです。ところが、政治家だけでなく、マスメディアも『伝家の宝刀を抜いた』とか、総理のリーダーシップをほめそやすような言葉を使っているわけです」と指摘した。
高市首相が解散の根拠としたのは憲法7条で、「内閣の助言と承認により行ふ」天皇の国事行為の一つに、「衆議院を解散すること」がある。内閣が「解散の必要があります」と助言して、天皇が解散詔書を交付するのだが、内閣が助言して行うのだから解散権は内閣総理大臣にあるようなものと、政界では"拡大解釈"されてきた。
後藤謙次「極めて悪しき慣習が日本で定着してしまった」
これについて、「報道特集」にVTR出演したジャーナリストの後藤謙次氏は、「憲法7条解散については、違憲の疑いを指摘する学説も当然存在するわけなんですね。だけど、権力を持っているとそれが使えるのだということで、恣意的な、今回のような解散権行使を許してしまう。極めて悪しき慣習が日本で定着してしまった」と説明した。
裁量的解散が可能な国は、カナダやイタリアなどOECDの中に20か国あるが、立命館大の小堀眞裕教授は「(首相が)裏をかいて解散をするやり方は、本当に、日本だけで、裁量があってもあまり行使しない国が多い」と解説した。
また、「解散について考えている暇はございません」と言ってきた高市首相が、一転して解散に踏み切ったことについても、日下部キャスターは「『解散について、総理はウソをついてもいい』(といわれます)。社会常識からすれば、そんなことは絶対にありません」と批判した。
(シニアエディター 関口一喜)