やす子、炎上続き...「心疲れました」 テレビが作った「いい人キャラ」の重圧と素質の落差があったのか

   お笑い芸人・やす子さんの炎上が続いた。

   2026年1月10日放送の『逃走中~トリプルミッションインポッシブル~』(フジテレビ系)で、「KEY TO LIT」猪狩蒼弥さんについて「全部の仕事で爪痕残そうとしてるところがキツイ」と言及。オンエア後、やす子さんは自身のXで10日、「心疲れました」と投稿する事態となった。これが示すのは、自分の発言と本心との葛藤だ。

  • やす子さんのXより(@yasuko_sma/一部加工)
    やす子さんのXより(@yasuko_sma/一部加工)
  • やす子さんのX(@yasuko_sma)より
    やす子さんのX(@yasuko_sma)より
  • やす子さんのXより(@yasuko_sma/一部加工)
  • やす子さんのX(@yasuko_sma)より

切り取り文化に翻弄?

   やす子さんの人気を押し上げたのは、「はい~」に象徴される全肯定キャラと「いい人」像だ。『24時間テレビ』(日本テレビ系)という感動的な番組の中で、幼少期を過ごした児童養護施設のために走り、集まった募金を寄付する姿が描かれた。

   そんな不遇な過去と献身性、さらにフワちゃんからの「暴言騒動」への同情が重なり、善良イメージがついていた。だが、好感度が極限まで高まれば、その反動が訪れるのが世の常だ。

   問題は、番組内で成立していた発言が「切り取り」によって歪められている点にあるだろう。

   25年12月8日放送の『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ系)では、猪狩蒼弥さんに「だからデビューできないんだよ~」と苦笑混じりに放ったが、直後に猪狩さんが「だからなわけねーだろ!」と即ツッコミを入れ、スタジオでは笑いとして成立していた。

   26年1月12日放送の『欽ちゃん&香取慎吾の 第101回全日本仮装大賞』(日本テレビ系)では、出場者に「今日とんでもなくつまらなかったです、はいー!」と「辛口」審査。だが、その直後、会場からは拍手と歓声が上がり、当の出場者も笑顔で「また来ます!」と前向きに応じている。

   会場の空気は険悪どころか和やかで、やす子さんのコメントも番組内では明確に笑いとして成立していた。ところが放送後、この一言だけが切り取られ、文脈や反応は削ぎ落とされてしまった。結果、印象は反転し、「辛辣な審査員」としてやす子さんだけが一方的に悪者にされていった。

リアクションとセットで成立してきた「芸」

   ただ、やす子さんは以前から、歯に衣着せぬ発言をするタレントとし知られてきた。

   24年1月29日放送の『呼び出し先生タナカ』では、頻繁にドッキリにかけられる『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(フジテレビ系)に対して「一番嫌いな番組」と断言し、「人にドッキリかけて嘲笑ってる。ゴミクソじゃねーか、バカ野郎!」と本音を連発した。

   また、25年5月放送の『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)では、「白湯って何の栄養もない」とし、朝方の人間に対して、「朝から白湯を飲まなきゃって考えるから性格が悪くなる」と「暴論気味」に切り込んでいる。

   さらに、25年8月放送の『ドッキリGP』では、坂上忍さんの愛犬を預かるドッキリ企画でスタッフの不手際に、「見てって言ったじゃん!」「バカ3人衆」と激昂していた。

   こうした発言は、「切り取りだから無罪」でも、「本性だから有罪」でもない点はポイントだろう。

   やす子さんは、感情が前に出る場面も少なくない。しかしそれは、番組内の空気や相手のリアクションとセットで成立してきた「芸」でもあった。

   問題は、過剰に作り上げられた「良い人キャラ」と、実像とのギャップ。その落差が大きすぎるがゆえに、辛口や本音が切り取りによって文脈を失った瞬間、特に番組を直接見ていないネットユーザーから「キャラ変」として消費されてしまった。

   また、視聴者も、自分では何も思っていないのに、「これは炎上しそう」と先回りして考えてしまう「切り取り脳」になっている。

   やす子さんの「心疲れました」という言葉は、批判への逆ギレではない。テレビ業界が貼った善人像を背負わされ、切り取り文化に翻弄される末に漏れた限界のサインではないだろうか。今後求められるのは、いい面もダークな面も併せ持つ「シン・やす子」としての再定義だ。

   切り取りと過剰な期待の両方から距離を取れるかが、次の分岐点になる。

(川瀬孝雄)

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