円安は悪者視せずにメリット活用を
さらに、日本政府は150兆円以上の外貨準備を持っている。これはほぼドル債なので、円安になると含み益が発生する。これが高市首相の「ホクホク」発言だ。具体的には10円円安で追加的に15兆円以上の含み益があり、売却すれば円買いドル売り介入となるとともに含み益が実現益になる。国家の主権としてそれを行うかどうかは日本政府の自由である。また、中期債なので自ずと償還期限が来る。償還すれば介入とはいわれずに含み益を実現益とできる。いずれにしても含み益は実現益にできる。フローの財政収入とストックからの実現益を国民に還元しつつ、物価高の対策をすればいい。円安を悪者視するのは誤りで、そのメリットを活用すべきだ。
なお、円安が経済を好転させるので推測できるが、社会面でも円安のメリットはありそうだ。直近30年間の為替と就業者数をみると、相関係数は0.65であり10円円安で就業者数66万人程度増えることが示唆されている。また、為替と自殺者数のデータを見ると、相関係数は▲0.35となっており、これも10円円安で1100人程度自殺者数程度減少する円安メリットが示唆される。
++高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはしよういち)元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。