朝の通勤・通学時間帯は、電車内の混雑が当たり前になっている。立っている人が多い状況では、座席の使い方をめぐって不満が生まれることもあるようだ。数年前、首都圏の大学に通っていた高橋直人さん(仮名・20代)も、満員電車の中で気になる光景を目にした。荷物でふさがれた「三人掛けの座席」「午前7時45分頃でした。電車が駅に到着した時点で、もうかなり混んでいました」高橋さんは吊り革をつかみ、大学の最寄り駅まで約20分、立ったまま移動するつもりで車内にいた。そんな中、前方の座席に目を向けると、ドア近くの三人掛けの一角に年配の女性が座っていた。女性の両側の座席は空いていたが、右側にはリュックサック、左側にはショッピングバッグが置かれていた。「たまたま空いているのかと思いましたが、どう見ても荷物でふさがれていました」周囲には立っている人が何人もいた。近くにいた人たちも、座席と年配の女性を気にしている様子だったという。誰も声をかけないまま駅に到着して...次の駅に着いても、年配の女性は席を立たず、荷物を動かすこともなくスマートフォンを操作していた。「迷惑だなと思いました」それでも高橋さんは、何も言えなかった。「年配の方ですし、疲れているのかもしれないと思ったんです」結局、誰も声をかけないまま電車は駅へ到着。年配の女性が下車すると、空いた三人掛けの座席は「すぐに」他の乗客で埋まった。大学の最寄り駅で電車を降りた高橋さんは、「迷惑だったけど、しょうがないのかもしれない」と自分に言い聞かせたという。満員電車では、周囲に配慮した行動が求められる一方で、立場や状況を考えて言葉を飲み込んでしまう場面も少なくない。混雑する時間帯だからこそ、座席や荷物の扱い方について、あらためて意識しておく必要がある。
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