ハマり役だった両津勘吉は反体制的だが...
そして、1996年からアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(フジテレビ系)で両津勘吉の声を担当し、より広い層に知られるようになる。彼の声を聞いた原作者・秋本治さんが指名したとされ、そのハマりっぷりは「もはや両津本人」と評されるほどだ。
両津勘吉は、典型的な「反体制的キャラクター」である。上司の大原部長に逆らい、ルールを無視し、組織的権力に抵抗する。その破天荒さこそが、キャラの本質だ。ラサール氏本人も、舞台版『こち亀』で脚本・演出を手掛けるなど、創作活動を通じてこのキャラを深掘りしてきた。
前述の14日放送の『ABEMA Prime』の中で「そもそも芸人は反権力だと思ってる」とラサール氏は口にした。思えばラサール氏は、政治活動を本格化させた2025年に参院選出馬を決意。社民党副党首として現在、自民党の安全保障政策を批判し続けている。そこにあるのは一貫した「反権力」の論理である。
だが、松陰寺さんとの議論で露呈したのは、その論理の弱さだ。日本側の問題点を指摘することと、周辺国の軍拡に向き合うことは、同時に成り立つはずなのに、ラサール氏は後者に踏み込もうとしない。ハマり役だった両津勘吉は反体制的だが、同時に現実への対応力を持つキャラである。議員として求められるのも、そうした「バランス感覚」ではないだろうか。
ラ・サール高校から笑いの道に進み、コント赤信号の「暴走族コント」から、両津勘吉の声優として、反権力的キャラクターを体現し、支持を得てきたラサール氏。自ら進んだ政治の道で晩節を汚さず、真価が問われるのはこれからだ。
(川瀬孝雄)