東京・六本木の駐車場に「日本庭園」 一等地で駐車台数減、それでも収益性下がらぬ理由

   地価や賃料が高額な東京・六本木にある駐車場の一角に、なぜか「日本庭園」の空間がある――。2026年2月中旬、現地写真を紹介しながら疑問を投げかける投稿がSNS上で大きな注目を集めた。

   この駐車場は、エコロシティ(東京都港区)が運営する「EcoloPark⁺六本木第20」。駐車場を最大限活用すれば、より収益を上げられるはずの一等地で、あえて駐車台数を減らして景観重視の空間を設けた理由とは。同社に狙いや背景を聞いた。

  • EcoloPark⁺六本木第20(エコロシティ提供)
    EcoloPark⁺六本木第20(エコロシティ提供)
  • EcoloPark⁺六本木第20の「日本庭園」(エコロシティ提供)
    EcoloPark⁺六本木第20の「日本庭園」(エコロシティ提供)
  • EcoloPark⁺六本木第20(エコロシティ提供)
  • EcoloPark⁺六本木第20の「日本庭園」(エコロシティ提供)

通常より広い駐車スペース、路面温度上昇を抑制する舗装を採用

   エコロシティの発表によると、「EcoloPark⁺」は次世代パーキングとして、少子高齢化に対応した利便性の向上、環境負荷の低減、地域住民への配慮を重視し、GX(グリーントランスフォーメーション)を最小限の資材で実現することを目指している。

   「EcoloPark⁺六本木第20」は25年1月30日に開業。精算機やロック板をなくし、完全キャッシュレス化を実現することで運営コストを削減。通常よりも広い駐車スペースや、路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装などを採用している。

   SNSで注目を集めたのが、同駐車場の一角にある「日本庭園」の空間だ。竹垣で囲われた和風庭園のような空間が広がっており、白い砂利、飛び石、小さな松のような木が配置されている。周囲のビル群とは一線を画した静かな雰囲気を演出している。

   J-CASTニュースの取材に応じたエコロシティの広報担当者によると、この駐車場は、設備削減による二酸化炭素(CO2)排出負荷の軽減と、都市部の気温が周辺部よりも高くなる「ヒートアイランド」対策の両立を図っているという。 そして、緑地や竹垣を配置した景観スペースを設けた理由を次のように説明した。

「その一環として、一部のスペースを都市環境に貢献できる空間へ転換できないかと考えました。そこで設けたのが、緑地と竹垣です。これは装飾だけではなく、都市の温熱環境緩和、視覚的なストレス軽減を目的とした設計です」

頻繁なメンテ必要で「将来的に人手不足リスクが高まる」

   「EcoloPark⁺六本木第20」の駐車可能台数は14台。担当者によれば、リニューアル前の駐車場は18台だった。つまり4台減少している。六本木という一等地で、あえて駐車台数を減らして景観重視の空間を設けた理由について、次のように述べた。

「台数は減少していますが、利便性向上による稼働率の安定化、駐車単価の維持、事故・接触リスク低減、現金回収や保守機器削減によるコスト圧縮といった要素を含めると、必ずしも収益性が単純に低下するわけではありません」

   従来の駐車場は、精算機やロック板、頻繁なメンテナンスに依存している。そのため、労働人口が減少する日本で、こうした駐車場は「将来的に人手不足リスクが高まる」と担当者は指摘する。

   「EcoloPark⁺六本木第20」をオープンした当初は、精算機レスという仕組みに対する問い合わせが一定数あったが、案内表示の改善や利用者の慣れも進み、問い合わせ件数もかなり減少したという。

   また、景観スペースに対しても、「駐車場らしくない」「落ち着く」「こんな空間があるとは驚いた」などのコメントがあるといい、「よく写真撮影をしている方をみかけます」と明かした。

   担当者は、「EcoloPark⁺」は「駐車場という都市インフラを再定義するモデルと位置づけています」とし、今後は宅配便の配送拠点や自動運転タクシーの待機所など、さまざまな用途に使える場所へ進化させていく考えを示した。

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