コロナ禍以降、ナイトワーカーのセカンドキャリアが注目されつつある。ウイルスが猛威をふるっていたあの頃、接客業はとても苦しい状況に強いられ、一部での「転職勢」が目立ってから将来を考える働き手が増えた。また、売れっ子の次なるステップが気になり、「その先」まで追いかけるファンが多いからこそセカンドキャリアという話題が上がりやすいのかもしれない。一昔前なら、夜職に就いたら人生が「ドン詰まり」のような風潮があった。最近は職業選択の幅が広がったおかげで、セカンドキャリア構築が非常に困難な時代ではない。ただし、あくまでこれは「職業を選り好みしなければ」の話。夜職歴、条件、かつてのキャリア(昼職経験の有無)や年齢などで、状況が大きく変わってしまうものだ。選ばなければ道はある一般社会では夜職は職歴としてカウントされず空白の期間扱いとなる。もちろん堂々と主張ができるなら経歴に書いてもいいけれど、ここで勇気を振り絞れる人は少ないだろう。特に女性の場合、セクハラ被害の危険性が考えられるため、言わない方がメリットが多いのは悲しき事実だ。よって空白の期間ができる=ハンデだが、期間が短いとか、正当な理由を述べられるなら就職のチャンスはゼロではない。「ナイトワーカー歴30年からの転職」でもない限り、社会的な休業期間が少しくらいあってもけっこうなんとかなる。学歴なし、昼職経験なし、資格なしなど「全てないない尽くし」でも、若さや熱意を買われた採用の可能性が考えられるのなら、ナイトワーカーが絶対に転職できないというのはほぼあり得ない。仮に夜職20年選手でこの職業しか経験がなくとも、アルバイトくらいなら1つは絶対に見つかるはずだからだ。給料・職種・条件にこだわらなければ高いコミュニケーション能力と愛嬌、そしてフットワークの軽さを兼ね備えた元キャストが、いっさいどこにも拾ってもらえないなどは非常に考え難い。とにかく、選ばなければ道は開ける。ナイトワーカー歴が長ければ知人も多いため、紹介から就職なんて歓楽街ではよくある話だと言えよう。選びまくると「ドン詰まり」な現実ただ、そうは言っても、全てを妥協して職を探すなど無理がある。もう二度と歓楽街に近寄りたいと思わず、何が何でも脱出したい人でない限り、なりふりかまわず転職活動に挑む可能性は低いだろう。ナイトワーカーはとりあえずいったん休んでから考える→結局復帰するパターンがとても多いせいで、「妥協して転職するくらいなら、条件が悪くない今を維持する」状態に陥りやすい。夜職はキャストに甘く、度重なる遅刻やちょっとしたメンタルの揺れが原因の当日欠勤にも柔軟に対応してもらえる。おまけに、髪色やメイクの規制もなく、フリーシフトが続けば週5日働く生活に変えるのさえ厳しい。そこへ低賃金、服装指定などの要素が加われば、いくら夜職のデメリットを多数感じていても、セカンドキャリア構築へ踏み切れないだろう。ナイトワーカー歴が長期化し、そこそこの金額を手にすると人は感覚が麻痺する。良い条件で働かせてもらえているならなおさらで、夜の世界だから通じていた常識や感覚を外へ求める体質になってしまうのだ。「こんな給料じゃ働けない」「朝起きて電車に乗るなんて無理」「8時間も働かなきゃならないの?」世間一般の常識で考えればごくごく当たり前のことも、「夜職脳」になっていると、全てに違和感を覚えがちに......。職を探しているのにもかかわらずあれはダメ、これはダメと見事に選びまくり、最終的に次が見つからず、転職そのものを諦めるケースも少なくはないのだ。特殊な商売からセカンドキャリアを築くこと自体は、「超絶難関」ではない。ただ、わがままを100%通したいがために選り好みをすれば完全に「詰む」。ナイトワーカーの転職は世間の優しさと厳しさという、正反対の二面生が特に出る部分だと筆者は感じている。だからこそ、次のステージは慎重にいかねばならない。ずっとキラキラを求めるにしろ、静かな生活を求めるにしろ、落ち着きと少しの妥協、あるいは戦える武器を身につけなければ、納得のいく毎日からは遠ざかってしまうのだ。【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。
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