選びまくると「ドン詰まり」な現実
ただ、そうは言っても、全てを妥協して職を探すなど無理がある。もう二度と歓楽街に近寄りたいと思わず、何が何でも脱出したい人でない限り、なりふりかまわず転職活動に挑む可能性は低いだろう。ナイトワーカーはとりあえずいったん休んでから考える→結局復帰するパターンがとても多いせいで、「妥協して転職するくらいなら、条件が悪くない今を維持する」状態に陥りやすい。
夜職はキャストに甘く、度重なる遅刻やちょっとしたメンタルの揺れが原因の当日欠勤にも柔軟に対応してもらえる。おまけに、髪色やメイクの規制もなく、フリーシフトが続けば週5日働く生活に変えるのさえ厳しい。そこへ低賃金、服装指定などの要素が加われば、いくら夜職のデメリットを多数感じていても、セカンドキャリア構築へ踏み切れないだろう。
ナイトワーカー歴が長期化し、そこそこの金額を手にすると人は感覚が麻痺する。良い条件で働かせてもらえているならなおさらで、夜の世界だから通じていた常識や感覚を外へ求める体質になってしまうのだ。
「こんな給料じゃ働けない」
「朝起きて電車に乗るなんて無理」
「8時間も働かなきゃならないの?」
世間一般の常識で考えればごくごく当たり前のことも、「夜職脳」になっていると、全てに違和感を覚えがちに......。職を探しているのにもかかわらずあれはダメ、これはダメと見事に選びまくり、最終的に次が見つからず、転職そのものを諦めるケースも少なくはないのだ。
特殊な商売からセカンドキャリアを築くこと自体は、「超絶難関」ではない。ただ、わがままを100%通したいがために選り好みをすれば完全に「詰む」。ナイトワーカーの転職は世間の優しさと厳しさという、正反対の二面生が特に出る部分だと筆者は感じている。
だからこそ、次のステージは慎重にいかねばならない。ずっとキラキラを求めるにしろ、静かな生活を求めるにしろ、落ち着きと少しの妥協、あるいは戦える武器を身につけなければ、納得のいく毎日からは遠ざかってしまうのだ。
【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。