日程闘争ばかりで形骸化した日本の国会、「予算に精通した議員が省庁に出向き議論するドイツを見習ったら」TBS報道番組の指摘

   2026年度予算の成立の遅れを補う8.6兆円の暫定予算案が2026年3月27日に衆院に提出された。今回の予算審議は高市早苗首相が「年度内成立」にこだわったことで、与野党の日程闘争が前面に出て、逆に「審議の形骸化」が際立つ格好となった。中道改革連合の小川淳也代表は「日本の国会を大幅に変えなければならない」と主張するが、高市一強のなかで可能なのか。

  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
    高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • 中道改革連合の小川淳也代表
    中道改革連合の小川淳也代表
  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • 中道改革連合の小川淳也代表

予算案修正 ドイツ国会は1300か所、日本は戦後5回だけ

   26日の「報道1930」(BS-TBS)は、「予算案の修正をしない、何のための国会審議か」として、日本の国会審議のあり方をとりあげた。その一例として指摘したのが「予算案を修正」しない慣習だ。日本では「戦後5回」しか修正した経験がないのに、ドイツ議会は今年度予算だけで1300か所以上の修正があった、という。

   ドイツの審議時間は「無制限」だという。5時間でも7時間でも夜通しでも納得するまで議論する。「劇場型」を嫌い「非公開」だ。しかし、記録はすべて公開する。

   日本のように省庁の官僚が与党と事前調整するのではなく、与野党すべてが「担当議員」を指名して、そろって各省庁に行き「予算案を1行ずつ職員と議論する」。各党には省庁別予算に精通した専門議員が存在する。

   このドイツ議会のシステムのようになると、「議論が形骸化しているのか、議員の能力や資質、勉強量が直ちに問われる」と小川代表は言う。議員の専門知識不足が指摘され、最近は「審議のレベル低下」が嘆かれる日本の国会とは、大きな違いだ。

中道・長妻氏「与党に、ガチャンと強制終了された」

   政府が暫定予算を組む方針を明らかにした26日、中道改革連合の長妻昭・予算委筆頭理事は、「(3月初めから)暫定予算を作ればいいと何度も何度も理事会で言っていたが、(与党側が)それはできない、できない、年度内、年度内(予算の年度内成立)ということで、ガチャンと強制終了を13日にしてしまった」と衆議院での強引な予算採決を、記者団の前で振り返った。

   与党側の言い分として、自民党理事は「それは自分たち(与党)ではなくて政府がそういう判断をしたので政府に聞いてくれ」と反論したという。「国会が政府の下請けになったという証左ではないかと思います」と長妻氏は話した。

   高市首相が「年度内成立」にこだわったのは、自らの判断による「1月解散」を年度予算成立が遅れた理由だといわれたくない、とされている。

   「高市一強」と言われる「(自民)党内力学」が支配する現状では、「国民にわかりやすい国会論議」の実現は難しいかも知れない。

こんな国会で 「国論を二分する問題」の審議は出来るのか

   「報道1930」は、年度予算成立後の4月以降の国会では「国論を二分するような法案」の審議が続くとして、スパイ防止法案や旧姓の通称使用の法制化、などもあげた。国会で審議してほしい問題はほかにもある。朝日新聞3月27日付朝刊では、台湾有事などを念頭にした「シェルター確保」の基本方針や自衛隊の定員問題など、きな臭い問題も指摘されている。南西地域に限らず、どの範囲までシェルターの必要があるのか、負担はどうするのか。国防分野での人員不足に関連して、新しい兵役制度を導入したドイツでは、志願者が十分に集まらない場合、一時停止した徴兵制の再開を検討する方向だ。

   防衛費の拡大も含めて、こうした政策関連の法案審議は、他人事ではなくなってきた。物価高という生活レベルの問題だけでなく、命の安全につながる法案の審議が必要になっているのに、こんな国会で大丈夫なのか。

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

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