朝の通勤電車では、多くの人が乗車し、思わぬ出来事に戸惑うこともある。2025年7月発表の国土交通省のデータによると、首都圏の主要路線では、朝の通勤時間帯に混雑率が高く、乗客同士が近い距離で過ごす場面も少なくない。数年前、山田真由さん(仮名・30代)は、そんな車内での出来事をはっきり覚えているという。隣に座った女性が居眠りをし、何度も肩にもたれてきたそうだ。電車が揺れるたびに隣の女性が倒れてくるその日は、朝の通勤時間帯だった。運よく座席に座ることができ、スマートフォンを見ながら目的地へ向かっていた。車内は、想像していたほど混雑していなかったという。だが、しばらくすると、隣に座っている若い女性が、かなり眠たそうにしていることに気づいた。「スーツを着ていたので、会社員の方だと思います」電車が揺れるタイミングで、その女性が山田さんのほうに倒れてきた。肩に軽く触れるような状態になり、女性は慌てて姿勢を戻して謝ったという。「すみません......」山田さんは、「大丈夫ですよ」と返したが、内心では少し戸惑いもあったようだ。「落ち着いて座っていたかったのですが、隣で『コクンコクン』としているのが気になってしまって、スマホにも集中できませんでした。ちょっと困ったなと思いましたね」その後も、電車が揺れるたびに女性は「ウトウト」し、再び肩にもたれかかってきた。女性はそのたびに「ハッ」と目を覚まし、体勢を整える――そんなやり取りが何度か続いた。降りる駅が近づき声をかけて起こすと...3回ほど続いたあと、女性は完全に眠ってしまったようだ。今度は、山田さんの肩にもたれたまま動かなくなった。「完全に『肩枕』みたいな状態でした」周囲の視線も気になり、体を動かすべきか迷ったものの、「起こしてしまうのも申し訳ない」と感じ、そのまま姿勢でやり過ごしたという。しかし、山田さんの降りる駅が近づいてきたのだが、このままでは電車を降りることができない。駅に近づいたタイミングで、山田さんは意を決して声をかけた。「すみません、降りたいのでいいですか?」女性の肩を軽くたたくと、ハッと目を覚ました。驚いた様子で体勢を戻し、申し訳なさそうに頭を下げたという。山田さん軽く会釈をして、そのまま電車を降りた。山田さんは「申し訳なさそうにしていたので、とくに気にしていません」と振り返る。通勤電車では、見知らぬ乗客同士が隣り合わせになる。ちょっとした出来事でもトラブルに発展してしまうこともあれば、互いに一言声をかけることで気まずさが和らぐ――そんな瞬間もある。
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