俳優人生70年となる俳優の北大路欣也さん(83)が2026年4月5日放送の「有働Times」(テレビ朝日系)に出演、人生の恩人となる「レジェンド」の名を挙げた。北大路さんが「素晴らしい出会いによって育てられたことを本当に感じている」と話すその一人は、俳優の高倉健さん。高倉さんが突然朝迎えに来て、アスレチッククラブに連れていかれたエピソードを話す。
いっしょにアスレチッククラブ
「僕はあまり体が大きくなく健さんから見たら華奢だった」と話し、「その日から健さんのトレーニングメニューをやった。半分くらいいったところで伸びてしまった。トレーニング後のサウナで『そんな体で役者が務まるか』と言われ、それ(トレーニング)がずっと何十年も続いた」という。そして、過酷な撮影で有名な映画「八甲田山」で高倉さんとW主演を務めた。北大路さんは「健さんの鍛えがなかったら八甲田山の神田大尉はできなかったと思う。あの雪中行軍はすごかったですから」と昨日のことのように振り返った。
「君ね、なかなかいいよ。頑張りなさい」
もう一人の恩人は作家の三島由紀夫さんだ。21歳のころ、舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」に挑んだ時のこと。舞台の経験が少なく、稽古中は落ち込んでいたという。ある日楽屋にいたら三島さんがたずねてきた。「スッと入ってこられて『今ね、稽古をずっと見ていた。君ね、なかなかいいよ。頑張りなさい』と言われ、急に明るくなって、明日からの稽古はがんばるぞとものすごい力をもらった」と話した。三島さんが亡くなる前年に書いた最後の戯曲、舞台「癩王のテラス」の主演に北大路さんが抜擢された。「最後のシーンで『精神は死んだ(中略)肉体こそ不死なのだ』というセリフ、逆説ですよね。その時に(右の手のひらを前に向けて右手を挙げるポーズ)これは必ずやってほしいと言われました」。翌年、地方公演の楽屋でテレビを見ていると、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で演説している三島さんの姿を見た。その時、三島さんが最後にとったポーズを見た時に「爆発しそうになった」という。「(自分がやった癩王のテラスのポーズと)同じじゃないですか。ああ、もう想像もできないですけど、そういう時期に先生と出会うことができたというのは僕の運命としてしっかりと受け止めていきたいと思った。肉体と精神、心を大事にして可能な限り磨きあげなければいけない、大切にしなければいけないという思いをそれぞれの先人から教わってきた」と話した。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)